街いっぱいの「フレッシュフルーツ」
『FRUiTS』に登場した原宿のファッションリーダーたち
『FRUiTS』は1997年に誕生した。その頃は、まさに原宿スタイルを代表とする日本のストリート文化の最盛期で、本誌はその熱狂的ムードを掲載し、被写体の若者たちはまるでフレッシュフルーツのように色鮮やかだった。
「それまでは、流行のブランドがあれば、みんながそれを着るという状態だった。それが突然、原宿が自由になった。そこでは、古着を着たり、コーディネートが得意だったり、髪をいろんな色に染めたりする人こそがクールとされていた。流行を創り出す人は10~20人程度で、彼らが新しいファッションを発信すれば、皆がこぞってそれを真似する。それで流行発信側は、みんなとの違いをキープするために常に新しいファッションを生み出していかなければならない。」
日本のストリートファッションを記録した第一人者としての青木氏の名前は、彼の作品ほどは世に知られていない。しかし、今みんながイメージする「ストリートスナップ」スタイルは確かに『FRUiTS』がそのルーツであるため、多くの人が「ストリートスナップ」スタイルは、日本人が発明したものだと思っている。
しかし、実際にはそうではない。1980年代中頃、当時まだ日本のとあるコンピュータ会社に勤めていた青木氏がロンドンに出張した際、そこにはすでにストリートスナップ雑誌が存在していた。その時まさに勢いづいていたロンドンのストリートファッションこそが、彼に人生初のカメラと撮影入門教材を買わせるきっかけとなったのである。