資料写真:日本の刺身
さて、これだけ殺菌処理が確立されてきた現代社会で、また食の安全性については多くの議論をかさねてきた日本で、今回「生食」食中毒事件が発生してしまいました。確かにこれまでに、「生食」食中毒事件というのはなかったわけではありません(むしろ衛生管理の杜撰さから、日本全体をみれば個別店舗などでよく発生するようなものです)。それに、今回実際の事件を起こした店舗で、大腸菌の付着している可能性がある肉表面を削らなかったという、現場レベルでの利益重視実態がみえます。しかし、それよりも今回の最も大きな社会的な問題点は、より業界ぐるみ、組織ぐるみの状況でありました。僕は問題点をまとめると以下のようになると思います。
1、日本政府組織(厚生労働省)が危険性を認識し、業界に対して注意喚起・勧告をおこなっていた(法的拘束力・罰則はない)事実。2、当該業界構造として政府安全性基準を満たす生食用食肉そのものが出回っていない、企業への供給がないという業界的コスト重視倫理欠如的状況。3、1と2があったことを政府与党が認識していなかった、または隠蔽していたいずれかの可能性からの民主党の政府コントロール能力疑義。4、前政権担当与党であった自民党または公明党は当時からその責任を知っていたか、またはその族議員により擁護していたかのうせいがあるという疑義。5,すべての野党が民主党政府へのチェック機能を果たすことができなかった機能不全問題。などが挙げられますね。
政府厚生労働省内で現場担当者レベルで危険なことがわかっていながら、これが解決されなかったという事実から、上記の問題点がでてきます。省内で上にあがらなかったのは何故か?上にあがっていた情報が民主党政府閣僚らを通じて議員が議論できなかったのは何故か?議論されていたとして大きな問題とならなかったのは何故か?そもそも自民党政権時代にはこの問題はなかったのか?などなど・・・国民目線でみると、省庁、議員、閉鎖的畜産・食肉業界、という様子がみえてきますねぇ。実はこの食肉に関してはその「業界」について触れることは「歴史的背景」から、タブーのようになってしまっているところもあるので(僕もこの公開の場では、言及しないようにします。)、これが引き金になっているとしたら、さらに根深い問題です。