文=鳳凰網コラムニスト 俞天任
資料写真:地震後の日本
筆者は1990年代初めに構内交換機(PBX)の買い付けを行ったことがあり、そのときに日本企業がどのように競争を極力避けているかを知った。彼らは顧客が別の企業に価格を尋ねた、または別の企業から見積価格を出されたことを知ると、自分たちの見積もりを取り下げる。つまり、当時の日本企業の間にはまったく競争関係が存在していなかった。
ところが現在、世界の経済構図は大きく変化し、日本企業の生存スペースは20年前ほど広くなくなっている。さらに米国は日本市場を切り開くために日本に大きな圧力をかけ、日本企業も競争せざるを得なくなっている。
このような競争はまず国際市場で行われた。トヨタ自動車に部品を供給する業者は北米日産や広州ホンダからも発注を受けられるなど、国際競争での日本企業の禁制は解かれている。中国国内の日産やホンダからの発注を受けることはまだできないが、すでに進歩したといえる。また、公正取引委員会も発足され、主に欧米からの不満の声に対処している。
会社の利益より民族の利益に優先する日本企業
しかし、日本企業は変わらず一致団結しており、その程度は驚くべき域に達している。彼らにとって、対外行動に出れば、会社の利益は自然と民族の利益になる。このようなやり方は、欧米のライバルにとって普通では考えられないことだ。「全国の団結」をスローガンにしてきた中国の国営企業もこれを聞いて慚愧の念にかられるだろう。
日本は自然災害の多い国で、災害発生時、ある企業の生産施設が破損し、これによって市場に余白が生まれることもある。一般的に言って、自然災害の影響を受けた企業は一定期間が過ぎれば回復するが、この生産能力を別の企業がすぐに補い、結果的にもとの企業が自然災害に追いやられることもよくある。
今までの震災への対応では、日本の大企業の間に次のような一般的なやり方が見られる。企業は互いに助け合い、被災していない企業が自らの生産能力を使って、被災企業の図面データや技術仕様書を引き受けて生産し、不足分を補っている。また、被災企業が落ち着いたらこれらの企業は自主的に生産をやめ、市場シェアを被災企業に返し、そのうえ、得たライバル企業の技術機密を利用して利益を得たりはしない。
ありえない話に思えるが、日本では広く知られた暗黙のルールで、皆がこれに従い、違反する事例もこれまで発生していない。他人を救うことは自分を救うことで、自分の会社がいつこのような困難に遭うかわからないからだ。もう一つ、この暗黙のルールには条件がある。関連の商品は、日本企業の国際市場で大きなシェアを占める商品であることだ。つまり、この商品に問題が生じれば日本の国際市場でのシェアに影響するため、「民族」を考慮して企業の利益を譲るべきというわけだ。
震災が「日本の大企業の助け合い」方式に影響