日本に始めてきた時、最初、日本人の微笑を見てサービスで笑っていると思っていた。しばらくたつと、いろいろわかってきた。日本の店員がいつも微笑みを絶やさず、深くお辞儀をしてありがとうございましたと見送るのは、私に日本の微笑みサービスを印象付けるためなのだ。
流行の日本人のお笑いにはあまり興味がない。有名な監督で、司会者の北野武のお笑い番組を見たことがあるが、しゃべりながら卑猥な動作をすると観客にくすくす笑いや、大笑いが起こる。おもしろいような、笑うに値しないような鬱々とした気持ちになり、笑うべきが笑わざるべきか気まずい思いで、流行の日本人の笑いについて喪失感を感じ始めた。
このごろ、多くの人が日本人自身も含め、日本人にはユーモアが足りないと思うようになった。日本人はもともとまじめて勤勉といわれており、反面から言えば慎み深さが際立つ。調査によれば、71%の日本人は日本社会に笑いが足りないと思っており、理由は半数が震災が頻発するから、3割が人間関係の変化による、2割は日本経済失速によるものだと答えている。