来日20年の劉さん(39歳)には、長年交際した男性がいる。しかし、二人とも独立心が強く、互いに相手を束縛したくないと考えていた。彼女自身も結婚歴があったため、結婚や出産に対し、特に執着しているわけでもなかった。相手の方も、同じバツイチで、結婚に憧れを持つというよりは、そこに生じる責任の方を恐れていた。
一生このまま生きていくと思っていた、地震が起こるまでは。
人生とはこんなに脆いものだったのか。彼女のこれまでの人生に対する考えが一変した。彼女は記者にこう語った。3月16日、周りはみんな混乱していて、帰国のチケットも取れない状態だった。子どもはアメリカに留学中で、自分のことはどうでもよく、あまり心配も焦りもしていなかったし、帰国するつもりもなかった。でも、その日の夜、やはり大きな恐怖を感じた。それは、本当にこのまま死んでしまうのかもしれないという気持ちだった。
「死」に思い至ったとき、なぜか気持ちが落ち着き、たくさんのことを思い出した。両親に対しては、もっと我慢強く接すればよかった。友達にはもっと寛容に接すればよかった。離婚した夫に対してさえ、後ろめたさを感じた。離婚当時はお互いに全部相手のせいだと思っていたが、この世を去るのだと思うと、人々のいい所ばかりが頭に浮かんだ。
彼女は言う。その時、生きているなら、周りの人に精一杯尽くさなければならない、日々を大切に過ごさなければならないと思った。そして、彼女は長年交際してきた彼にこう言った。「結婚しよう、まだ生きている間に。」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年6月13日