岩井俊二監督インタビュー 「芸術も一種の変態」

岩井俊二監督インタビュー 「芸術も一種の変態」。 中国には、映画監督・岩井俊二氏の作品によって心の奥底に眠っていた文芸の琴線が震わされたという文学青年がたくさんいる…

タグ: 映画監督,岩井俊二,上海国際映画祭

発信時間: 2011-06-21 14:47:15 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 

 中国には、映画監督・岩井俊二氏の作品によって心の奥底に眠っていた文芸の琴線が震わされたという文学青年がたくさんいる。岩井作品のストーリーは、ほぼ全ての映画ファンの心の中に残っている。上海国際映画祭アジア新人賞の選考委員会主席として上海を訪れた岩井監督に、謎に包まれた日常生活や日々の暮らしの中で感じていること、胸の内にある思い、創作のインスピレーションがどこから来るのか、などについて、新京報の記者がインタビューした。

 ▽純愛フェチ 「同年代の気持ちは分からない」

 新京報記者(以下、新京報):監督の作品には、淡い初恋をテーマとしたものが多いですが、監督の初恋も映画と同じような感じだったのですか?

 岩井俊二監督(以下、岩井):(笑いながら)小学校に入学してすぐ、初恋めいた気持ちを持ち、中学生になるとはっきりと恋愛感情を抱きました。でも手をつなぐどころか、相手に告白もできませんでした。

 新京報:これまでの監督の作品は、ご自分の初恋を撮られたものだったのですね。

 岩井:秘めた恋や片思いに私は非常に興味を引かれます。親しげに街を歩くカップルを見ても、彼らの恋愛の経緯には心を引かれません。一方で、もし10年前に思いを寄せていたのに告白しないまま離れ離れになった人が今目の前に現れたら、相手にその気持ちを伝えますか。これなら立派なラブストーリーになるわけです。

 新京報:愛という感情に対して、この数年で変化がありましたか?今でも「純愛」は存在すると信じていますか?

 岩井:もちろんです。純愛はますます少なくなっていますが、まだ消滅していないと信じています。この考え方は、昔も今も変わりません。私が映画で純愛というテーマにずっとこだわっているのも、この理由からです。現在制作中の映画は、私より10歳以上若い人々の物語です。自分と同年代の人が登場する映画を作ろうとしても、残念ながら、私自身が彼らの心理を良く理解することができないのです。

 新京報:しかし、監督の新作「ヴァンパイア」は、きわめて大きな論議を巻き起こしました。監督が作風を変えようとしていると感じた人が多かったようですが。

 岩井:「ヴァンパイア」の作風を変えたつもりはなく、テーマはこれまでと同じく「愛」です。ただ私の周りにも、(作風が)変わってきているという人はいましたね。たとえば、女優の蒼井優さんは「作品がますます変態化している」って(笑)。

 新京報:ご自分でもそう思われますか?

 岩井:芸術性を追求すればするほど、周囲の目には「変態」と映るようです。

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