細野補佐官は米・英・仏訪問の状況について簡単に述べ、そして、日本が今後、福島原発事故の教訓をまとめ、関連情報を公開すると示した。
審議官たちの発言はみな簡潔明瞭で、水中における放射性物質の存在を確認後の処理状況や、今後一年間で放射能の総量を20msvにまで下げる等、非常に分かりやすい説明だった。その後、東電が各原発ユニットの状況について簡単な報告を行った。
その時、会場は一瞬にして「タイプライター室」に変わった。記者達がキーボード上で打つ文字は素早くその所属メディアの編集者の手元に送られていく。そこにはもう、顔を上げて細野氏の凛々しい顔を見る者もいなければ、西山氏の今日のネクタイに興味を示す者もいない。
その後、質疑応答の時間となった。多くの記者たちの質問時間は回答者の数倍またはそれ以上となるため、記者会見はまるで自治会が行う市民大会のようになる。
一人の記者が質問した。「東電では現在何名の退職警察官を雇用しているのですか。」これは松本氏の想定外の質問だったようで、すぐに大量の資料を持って後ろに鎮座する総務部のスタッフの方を振り返った。
「すぐには具体的な数字をお答えできません。資料が見つかってからお答えします。先に次の質問をどうぞ。」松本氏が言った。
すると、記者が次のように問い詰めた。「先日渋谷で反原発デモが行われた際、東電はこれらの警察官を現場に派遣して情報収集を行っていたのではないですか。もっと具体的に言えば、○○元警察官に関係任務を担当させていたのではないですか。」
東電は答えに窮した。ともすれば、東電が警察官を使って民衆運動を監視していたと疑われることになる。
会場を埋め尽くす数の、仕事の細かい「タイプライター」たちを前に、東電はいつもその混乱を隠しきれない。
(つづく)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年7月4日