さて、これ以上の難しい話は、専門的な分析レポートなどをネットなどでも探せると思いますから、みていただくことにしまして・・・・最も簡単に、このアメリカ信用神話崩壊!(とも揶揄されるニュース)の今後の行く末について言えば、「世界の誰にもわかりません!(笑)」
決して、アメリカの国家財政が債務不履行(デフォルト)をおこす直接的な意味というわけでもありません。これまで不安視されていたことが格付会社によって、「よくできました!」のハンコから、「もうすこしがんばりましょう!」のハンコとして、実際に押されたというだけなわけですね。
最も問題とされるのは、この「影響」が、他の悪材料のニュースと関連しながら、どれだけ世界的な金融危機・リセッション等への呼び水のひとつになってしまうかということですが、ずっとピカピカと輝いていた優等生に、「もうすこしがんばりましょう!」のハンコが押されたわけですので、まわりからみれば、「あの優等生に何かあったのかしら?」「大丈夫かしら?」という不安を少しなりとも与えるわけでありまして(投資家マインドと呼ばれます)、ある程度世界の金融経済に「マイナス影響」の可能性が無いとは言えないでしょう。 一方では、「いつかは優等生も失敗する。」ということも周りはこれまでに考えていたので、「まぁ、仕方ないな」「再起にむけて頑張りをみせるのが重要だ」と思うだけで、今回の格付け低下はほとんど「影響」しないとみることもできますね。
いずれにしても、誰にも「真の影響」はわからないわけです。
ただしひとつだけ確実なことがあると僕は思いました。今回のこの一件について、僕が評価したいのはS&Pの態度です。
アメリカに「もうすこしがんばりましょう!」のハンコを押すのは大変勇気のいる行動です。これは国家に圧力をかけられる云々の「陰謀説」的なものではなくて、アメリカ国債というのは、資本主義・金融市場を形成する「国際的信用連鎖」の中心のようなものです。これについて、「疑義」をあげるということは、アメリカ国債への問題というよりも、世界の現代資本主義への疑問のなげかけのひとつでもあります。さらには、S&P自らは、その現代資本主義が故に生きていることができている組織体であります。ですから、アメリカ国債への「疑義」の投げかけは、S&P自らの存在をも危うくする行為であるわけです。