山田久氏は、日本の産業界がTPP参加を焦る理由について、韓国に競争の圧力がもたらされたためだけでなく、農業などの国内産業がここ十年にわたって制約を受け、世界経済や貿易自由化において大きく遅れを取っていることが主な問題だと話した。
日本が他国と進める自由貿易協定に関する交渉で最大の妨げとなっているのは、農業と農産品の保護問題だ。例えば、日本・ASEAN包括的経済連携協定と日本・インド経済連携協定を見ると、千種類近くの農業副産物や畜産物の関税は未だに引き下げられておらず、米の輸入関税は780%に上る。
これについて山田氏は、TPPの趣旨に基いて各種の関税を完全になくし、国内市場を広く開放すれば、日本の農業は破壊的なダメージを受けると見ている。しかし、TPPはダメージ緩和期間を設け、10年からさらに長期にわたる再生の機会を農業に与えるという。
日本の現在の農業政策は国内の農産品価格を一定の高さにし、農業従事者の生活を保証することを目的としたものだが、EUの農業政策の経験から、農産品価格を保護するより補助金を直接支給するほうが効果的だと山田氏は考える。