国際間の政治経済パワーゲームにおいて資本主義に対するアンチテーゼが姿を消してしまって、資本主義が勝利したと考えた人は少なくなかっただろうが、果たして資本主義は本当に勝利したのだろうか。
単純な話、資本主義社会においては「売らねばならぬ」という命題から逃れられない。さらには「売れさえすればよろしい」という価値観が人々のものの考え方を支配してしまう。世界を支配している思考は刹那主義である。
「子子孫孫のために」というきれいな言葉が氾濫する。実際のところは「売らんかな」的経済活動に没頭すればするほど、子子孫孫の未来はますます危ないものになっていく。
12,000年前に発明した農耕によって、地球人口は飛躍的に増加し、さらに産業革命で飛躍的に「快適・便利」な生活を手にしたわけだが、自然のシステムを前提とすれば肌寒い思いを否定できないだろう。
人類は相変わらず人類という「種」を共通認識にできていない。人類は自然のクシャミ程度すら予知できず、まして統御できない。「自然と共生する」という言葉は安直である。せめて「人類は共存しなければならない」という視点を確立したいものである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年1月31日
奥井禮喜氏のプロフィール
有限会社ライフビジョン代表取締役
経営労働評論家
日本労働ペンクラブ会員
OnLineJournalライフビジョン発行人
週刊RO通信発行人
ライフビジョン学会顧問 ユニオンアカデミー事務局
1976年 三菱電機労組中執時代に日本初の人生設計セミナー開催。
1982年 独立し、人と組織の元気を開発するライフビジョン理論で、個人の老後問題から余暇、自由時間、政治、社会を論ずる。
1985年 月刊ライフビジョン(現在のOnLineJournalライフビジョン)創刊。
1993年 『連帯する自我』をキーワードにライフビジョン学会を組織。
2002年 大衆運動の理論的拠点としてのユニオンアカデミー旗上げ。
講演、執筆、コンサルテーション、インターネットを使った「メール通信教育」などでオピニオンを展開し、現在に至る。
高齢・障害者雇用支援機構の「エルダー」にコラム連載中。