東京・南池袋公園で炊き出しを受け取るホームレスたち
2、3個のバッグを背負い、中ぐらいの大きさのキャリーケースを引く20~30代の若者たちを、東京でたまに見かける。身なりはこぎれいだ。旅行者のような姿だが、彼らこそ日本で最近増えているホームレス青年だ。
捨てきれない「プライド」
東京だと新宿や渋谷、上野など繁華街のガード下や道端などで、老人のホームレスを見かける。彼らは小さなテントを作り、段ボールをベッドとしている。近年、彼らのそばに若者の姿を見かけるようになった。自分がホームレスだと知られたくないのだろう、どんなに寒くても、テントや簡易ベッドをこしらえようとはしない。厚いコートを身にまといながら、明け方まで眠っているのだ。雨のときには、電話ボックスの中で立ったまま夜を明かす。
「住」の問題をこのように「解決」するとして、では「食」はどうするのか。東京にはホームレスが餓死しないシステムがある。通常、上野公園などの決まった場所で、無料の炊き出し地点がある。食事時には多くのホームレスが行列し、食べ物にありつくのだ。しかし、老人のホームレスが行列するのが目立ち、若いホームレスは少ない。しかし遠くからよく見ていると、ひもじい目をしながらもプライドを持っていそうな人々が、老人たちの行列に加わっているのが分かる。彼らはためらい、決心がつかなかったのだ。人に促されて手を伸ばそうとするが、はやり止める。彼らは人前でプライドを傷つけられたくないのだ。食べずにその場を離れた彼らを、深夜になって取材した。彼ら若いホームレスは、ゴミ箱の中から食べ残しのパンやファストフード、飲料などの「好物」をあさっていた。腹を膨らませるための、もっとメンツが立つ方法もある。日本の多くのスーパーでは、無料の試供品が並んでいる。時々、これらの試供品コーナーにホームレスが現れることがある。まだ「プライド」を残す彼らは、「ホームレスが食べに来た」と思われないように、そこに行く前にひげを剃り、髪を整え、時には香水を振り掛けることさえある。そして自転車でスーパーへ向かうのだ。若くて、きっちり身なりを整えた彼らを見て、彼らがホームレス青年であることに気付く人は少ない。
耐え難いストレス