文=コラムニスト・陳言
北京や上海にあるショッピングセンターの家電売り場をのぞいてみると、日系メーカーのテレビは、韓国系や中国国産のものよりも1、2割ほど高く値段が設定されている割には、デザインや機能は何年分も遅れをとっている。世界のテレビ市場では、サムソン、LGなどの韓国勢が日本メーカーを突き放す勢いで攻勢を強めている。
だが、日本メーカーのテレビ事業が衰退したからといって、日本の産業界全体が下り坂へ向かっているという訳ではない。産業界で第一線に立つ人物への取材を通して、新素材部品の開発および量産がすでに、これからの日本産業を支えていく要素となっていることが分かった。
◇「盛者必衰」の日本のテレビ
2011年、パナソニック、ソニー、シャープなどテレビ関連事業を主体とする日本のメーカーはことごとく大きな赤字決算を出している。
プラットフォーム戦略という面ではアップル社がトップを独走しており、テレビ本体の技術開発においては、韓国企業が日本を抜き世界を席巻している。製造コスト面からすると、中国メーカーの方が有利である。こうして見ると、日本のテレビメーカーにはもう努力の余地もないようだ。今後、日本のテレビの市場シェアがゼロになることはないだろうし、そのブランド名も残っていくだろう。だが、その影響力は縮小する一方で、増大する日はもう来ないはずである。
◇台頭する日本の新素材部品