「高齢化」は今や、世界共通の問題となっており、高齢者が幸せな晩年を送るにはどうしたら良いかについて、各国は絶えず考えをめぐらせている。日本も例外ではない。2000年4月に施行された「介護保険」制度により、日本の高齢者はより多くの支援を政府から受けられるようになった。同制度が確立したことで、民営の高齢者施設の発展が大々的に促された。
日本ではこれまで、高齢者施設の数が不足しており、多くの高齢者が「入所待ち」を余儀なくされていた。しかし、介護保険制度が整うにつれ、高齢者施設のタイプが多様化し、施設の数も急速に増加した。日本の高齢者施設は、国営・民営どちらもあり、入居費は10数万円から1億円以上までさまざまだ。厚生労働省の統計データによると、日本には現在、500カ所以上の高齢者施設があるが、入居費が安い公立の施設は短くて1年、長ければ数年間待ってようやく入居できるのが現状だ。
多くの民間企業は、ここに目をつけ、高齢者施設事業に積極的に参入し、新しいタイプの民間高齢者センターや老人ホームを続々と建設した。たとえば、老人ホームと幼稚園を隣同士に建て、入居している高齢者に幼稚園教員の補助として子供達の面倒を見てもらうように取り計らい、高齢者にとっても良い気分転換になっている。ある高齢者センターでは、料理や洗濯など、高齢者が自分で自分のことをするスペースを設け、また、筋肉の衰え防止や寝たきり予防を目的とした専門指導員による軽いエクササイズ・クラスを提供している。従来の高齢者施設は、近所の病院や個人診療所との提携によって高齢者に医療サービスを提供していたが、今では、多くの高齢者施設が、建設計画の段階で、病院や診療所を敷地内に併設し、24時間の医療サービス体制を敷いている。