チャイナ:貴大学が取り組んでいらっしゃる国際産学官連携セミナーについて教えてください。また、成功事例がございましたら、ぜひご紹介ください。
野澤:本学は円借款事業「中国人材育成事業」の教育機関の対象になっています。毎年、数名の大学教員の方が環境問題について研修コースに参加されています。
また、少し前のことになりますが、鳥インフルエンザ防除対策ワークショップでは、中国だけでなく東南アジア各国からの研究者も共に情報交換や、診断技術のレベル向上を行いました。
環境などの問題は、国境を越えた範囲での研究や検討が必要ですから、こういう活動が増えるといいと思います。
チャイナ:さきほど、ノーベル化学賞の鈴木教授のお話を伺いましたが、貴大学の卒業生や教員の方で中国とご縁の深い方がいらっしゃればご紹介いただけますか?
野澤:本学には1万8000人以上学生が在籍していますし、すでに135年以上の歴史がありますので、たくさんの人材を輩出しています。学問の専門領域以外にも、プロスキーヤーの三浦雄一郎さん、宇宙飛行士の毛利衛さんなど多彩な顔ぶれが並びますが、その中で1人というならば、原正市さんをご紹介させていただきましょう。
原氏は本学の農学部の出身で、北海道の水稲栽培を北海道農業試験場で長年、研究されてきました。1879年6月、農業視察団の副団長として中国を訪問したことをきっかけに中国で農業指導を行うようになり、黒竜江省を皮切りに中国25省151県を21年間で63回訪問、水稲の栽培技術を教えられました。「畑苗移植法」の栽培技術を中心に1982年から亡くなるまでの2002年までの21年間活動を続けられ、この栽培技術を用いる事により面積あたりの収量が2倍になったといわれています。中国の人々からは「洋財神(ヤンサイシェン)」(外国から来て懐を豊かにしてくれた神様)と呼ばれ、慕われたと聞いております。