今日の日本社会の支柱を成すのは、野田首相のような壮年の「エリート」だ。日本の政界、財界、メディア界における壮年のエリートが誕生した時代、日本経済は高度成長を開始しており、人々の生活が豊かになり始めていた。彼らは温室の中で甘やかされて育った世代なのだ。しかも彼らの多くが豊かな家庭や、代々政治家を輩出している家庭の出で、典型的な「おぼっちゃま」と言える。
彼らは父や祖父の世代と比べ、苦難を乗り切った経験がなく、苦しみに耐える精神を持ち合わせていない。もちろん、実際にあまり苦労をしたこともない。彼らは良い教育を受け、机上の空論が得意で、口達者だ。しかしそのために見かけ倒しで、着実励行の精神と実践経験が前世代に及ばない。彼らの中にも優秀な者がいないわけでもないが、一般的におぼっちゃまらしさが抜け切らない。これは日本経済の長期的な混乱と低迷の主な原因かもしれない。