「リング」はどうして日本ホラー映画の伝説になったのか

japanese.china.org.cn  |  2012-07-30

「リング」はどうして日本ホラー映画の伝説になったのか。

タグ:ホラー映画

発信時間:2012-07-30 16:22:44 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

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女子高生の友子は、来歴不明のビデオテープを同級生と一緒に見た。7日後、友子とその友人が相次いで死亡した。女性記者の浅川はこの事件に注目し、その原因を探ることにした――。

「リング」は日本のホラー映画の代表作になっているだけでなく、世界的に見てもホラー映画の一流派の開祖となっており、あちこちで模倣されている。ならば「リング」を通じて日本文化、ひいてはアジア文化の特徴を見出すことができるかもしれない。

まず「リング」は、血生臭い暴力的な映像によって観る者に刺激を与え、恐慌に陥れるようなことはあまりない。また過度なメーキャップで演者を別人にする演出もない(貞子ですら、顔に覆われた乱れた髪と白衣のみである)。この映画のすごいところは、細緻なプロット構成とハラハラさせる叙事手法にある。怨念を持った霊のイメージを細やかに描いているのである。

「リング」のロジカルなプロット構成を検討していると、日本人の特性と似ていることが分かってくる。古代から現代まで、日本は安心感に欠けた暮らしをしてきた。島国であることが大きな要因である。日本人が物をなすときは、ロジックを重視する傾向にある。遠回りをしながら、急がずあわてず行う。お茶をすすりながら話を進める、そんな処世術を身に付けてきた。

「リング」において、貞子はすぐに観客の心をつかむが、映画の当初、ほとんどその顔を見せることはない。彼女は人々を恐怖に陥れ、数人の命を奪うが、それでも観客は、貞子が許しがたい悪霊であるとは断言できない。彼女は念じることで人を殺すが、それは自分の母親を傷つけないようにするためであり、人としての感情が全くないわけではないからである。現在、多くの国のホラー映画で複雑な性格を持ったキャラクターが描かれているが、ホラー映画として名高い「リング」のキャラクター貞子は、間違いなく最初にその代表として挙げられるだろう。これは日本の状況と符合している。日本の近代は戦争と殺戮に明け暮れた。危機を経て、1970年代より再び世界舞台に躍り出たが、人々の生活ストレスは想像を超えるものであり、複雑な人間性が表面化することになった。

次に、「リング」が大成功した原因として、生活に密着したものであることが挙げられる。幽霊話は皆、人々が作り出したものであるし、ホラー映画は1ジャンルに過ぎない。それをどう生活に密着させるのか。よく考えれば分かるように、「リング」に出てくる怪しい鏡、テレビから出てくる貞子などは、現在でも我々の話題にのぼるところである。いわゆる不思議さに満ちたものはみな、生活の中にあるのだ。恐らくこれこそが、日本のホラー映画が欧米のそれとは異なる部分なのかもしれない。日本のホラー映画は、目もくらむような特撮を使うことも、趣向を凝らした異形物を創作することもない。なぜなら身の回りの何でもないものこそが、恐怖の源であり、人々の心を動かすものであるからである。これこそ日本のホラー映画の真髄なのである。

「リング」の撮影手法からも同じことが言える。強烈な視覚的衝撃を持った場面は、貞子がテレビから出てくるところを除けば、全篇どこにも見当たらない。しかし大多数の観客は、映画を観終わった直後は恐怖を感じずとも、映画を思い出すとともに恐ろしくなってくる。まるで、思い出すたびに何かを理解するような感覚を味わうのだ。これこそが日本独自の文化である。つまり論理的な叙事のなかに深く埋め込まれた殺意である。これらが合わさって、日本だけにしかない「ホラー映画伝説」が生まれたのだ。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年7月30日

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