日本政府は7月31日、2012年版防衛白書を発表した。その冒頭には、日本の森本敏防衛大臣が表明した「海洋の安全確保は日本の繁栄に不可欠だ」という観点が記され、本文にも海洋の安全確保に関する具体策が書き連ねられており、その動向には十分な警戒が必要だ。日本は海洋の安全確保の強化を主張しながらも、中国が関連の国際法に則って行う正常で合理的な海洋活動を不当に非難していることから、本当の動機は海洋権益を奪い、昔の海上覇権国という夢を再現することではないかと疑わずにはいられない。
歴史を振り返ると、日本は海洋権益意識が極めて強い国だとわかる。日本は19世紀末から20世紀前期にかけて、海上覇権争いを中心に対外侵略を進め、制海権の獲得、重要な海洋航路の支配、日本に極めて重要なエネルギー資源の輸入の海洋ルートの安全確保は、日本の海洋覇権争いのテーマとなっていた。
冷戦後、特に21世紀に入ってからの1~2年、日本は海洋権益を再獲得する意志を示した。沖ノ鳥礁(日本名:沖ノ鳥島)の管理を強化し、島でない岩礁を島と言い張るなど、その目的は周辺の200海里の排他的経済水域(EEZ)の支配権を獲得することだった。そのほか、沖ノ鳥礁は西太平洋の第一列島線と第二列島線の間の戦略的位置にあることから、日本が完全に支配すれば、西太平洋の要地を守り、中国などの他国の往来を抑制することができる。