単に数字だけ見れば、日本政府による、いわゆる釣魚島及び付属島嶼の「購入」には20億5000万円しかかかっていないものの、中日国交正常化以来、最も深刻な領土・主権をめぐる争いが、中日の経済・貿易関係に及ぼす打撃を考えると、日本が実際に払う代償は20億を優に超えることは明白である。
深刻化し続ける釣魚島問題が、中国と密接な関係を持つ日本企業に悪影響を及ぼしつつある。緊迫した状態が長引けば、中国への依存度が益々高まっている日本経済は、取り返しがつかないほどのダメージを受ける可能性がある。
まず、最初に打撃を受けるのは日本の電子製品の売上である。電子製品の販売業者が比較的集中する北京市中関村にある鼎好電子大厦(ビル)の1階入り口近くには、キャノンやニコンなどのデジタル製品の販売コーナーがあり、多くの販売員が来店客に声をかけているものの、実際に客が立ち寄ることは稀で、3階にある直営店でも閑古鳥が鳴いている。
直営店の陸店長によると、8月から客足が鈍っており、日本製のデジタル製品の売上は大幅に落ち込んでおり、例年のこの時期とは状況が違うという。「来店客は確かに著しく減少している」と陸店長は繰り返し強調する。また、陸店長は今後の状況を懸念し、「これからどうなるか、先が読めない」と話した。
中国の自動車市場で強い競争力を誇る日本の自動車メーカーの8月の新車販売も影響を受けている。中国自動車工業協会のデータによると、日系自動車メーカーの販売台数は、他の合資系の自動車メーカーよりも伸び率が低く、8月の自動車販売台数に占める割合は18.62%で、7月の19.81%よりも低下している。
日産自動車の志賀俊之・最高執行責任者(COO)は先日、メディアの取材に対し、「8月の新車販売に損失が生じたのは、大規模なプロモーション活動を展開することが難しかったためである。特に屋外でのPRイベントが中止になったことが、販売促進に影響した」と述べている。