白益民
2012年12月26日、国会の衆参両議院で指名選挙が行われ、与党自民党の安倍晋三総裁が日本の第96代首相に就任した。
中国人にとっては、日本の新政権が一触即発の緊張が高まっている釣魚島領土問題やこれにより深刻な打撃を受けている中日経済にどのように対処するかということ以上に関心が高まっていることはない。安倍首相がおそらく2006年当時のように、就任後すぐに中国に出向き日中の「氷を溶かす旅」をしてくれるものと期待していた人もいただろう。当時、安倍氏は中国側とともに小泉純一郎政権で氷点に達していた中日関係を徐々に修復していき、最終的に中国と日本は2008年、第4回目となる中日共同声明を発表するまでに至った。
しかし、時の変遷とともに、鳩山政権の失敗でわかるように安倍氏もこれまで通った同じ道を行くことは出来ない。第二次安倍内閣発足当日に、安倍氏は釣魚島領土問題には話し合いの余地がないといった。第一次安倍内閣の発足時とは異なり、安倍氏は今回最初に米国を訪問し、米国と環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について語り合う予定で、これは日本財界と期せずして希望が一致している。事実、今回の安倍氏の勝利は財界の支持と切り離して語ることはできない。
安倍氏と財界
安倍首相は、日本の財界と密接な関係を保ち続けている。日本経済団体連合会(経団連)の前会長である御手洗富士夫氏と安倍首相は年齢は離れているものの親交が深い。安倍氏の最初の首相就任時、2007年3月8日、首相官邸で当時のトヨタの張富士夫会長、パナソニックの中村邦夫会長、三菱重工の佃和夫社長など13人の大物財界人が就業問題などについて意見を交換している。
2012年9月26日、安倍氏が自民党総裁に就任した当日も財界からの支持が寄せられている。経団連の米倉弘昌会長は、安倍氏を「政策通で経験豊富な実力あるリーダー」と評価した。日本商工会議所も安倍氏に今後の決断力と行動力に期待するとコメント、経済同友会の長谷川閑史代表幹事も安倍氏なら周辺諸国との関係改善を果たしてくれるだろうと語っている。
自民党総裁に選出されてから安倍氏の首相奪還の勢いは凄まじかった。10月9日午前、安倍氏は東京で米倉会長などと政策懇談会を開いている。共同通信によれば、経団連は当時改造したばかりだった野田政権に接触する前に、自民党の新執行部に会っているが、これは非常に珍しいことだった。両者の接近は衆議院選挙後の政権交代の準備だったともとれる。
三菱系大学出身