「弊社の工場はラインの自動化、営業の情報化で、10年前は中国の同業者をはるかにしのいでいたが、現在はそれほど差がなくなっている。私たちの強みは、ノウハウが若干多いというだけ」
渡辺さんは自宅で、大学生の娘から学校の話を聞いたとき、隔世の感を覚えたという。「娘は日本経済が落ち込み始めた時代に生まれた。いま二十歳だが、この20年間で日本経済が回復したことはほとんどない。中国人の同級生に不景気という感覚はまったくない。学習能力や消費水準は既に日本人の同級生を超えている」
依然として中国に対しある種の優越感を抱く年配世代とは対照的に、日本の若い世代は中日両国の新たなパワーバランスに少しずつ適応しつつある。
これは日本経済の低迷と中国の追い上げで両国の経済バランスが微妙な段階に差し掛かったことに伴う一種の特殊な感覚だろう。かりに日本経済が今後も足踏みを続け、中国が年7-8%のペースで成長した場合、2020年には中国経済は米国に肩を並べ、世界一に躍り出る。そのとき、日本はどうするのか?日本の有識者達は「早急に議論すべき問題」と模索を始めている。