■強がって心中の恐怖を隠す
しかし中日両国の未来のパワーバランスの変化が日本国民の心中に投映されるとき、日本人の中には中国に対する友好的ではない感情が生まれる。中国が弱ければ、日本には中国に寄り添いたいという友好心が広まるが、中国が強くなると、中国を嫌う人が急に増え、嫌悪感にいくらか恐怖心が加わる。
日本の内閣府が昨年行った調査結果によると、在日米軍軍属による日本人女性暴行事件が頻発しているにもかかわらず、米国に好感を持つ日本人は依然81.9%に上る。一方、中国への好感度は26.1%にとどまっている。今年に入り石原慎太郎・前東京都知事が中日領土紛争に油を注いでからは、この数字はさらに低下しているだろう。
「総選挙戦中の日本には、各政党から『日本領土固守』や島しょ進駐の公約は聞かれたが、周辺国との関係処理に関する理性的な声は聞かれなかった」。早稲田大でアジア関係を専攻する中国人留学生は記者の取材に対しこう語った。
専業主婦の間でさえ、日本の対外関係について触れると、過去の「不再戦」「弱者救済」などの話題から、徐々に領土問題に移り、強烈な「愛国」ムードを表す人達も出てきた。
「ネットと愛国」の著者・安田浩一氏は日本に現われた変化について、こう解釈している。「多くの日本人男性がデモに参加している。政治目的がメインで、ときには感情のはけ口となっている。しかし女性のデモ参加は、社会に対する絶望や心理的危機感によるものだ」。経済の長期低迷、政治的動揺により、出口の見えない迷いの中、少なからぬ日本人は対外関係にはけ口を求め、強がりで心中の恐怖を隠しているという。