奥井禮喜氏:民主党綱領を読む

奥井禮喜氏:民主党綱領を読む。 わが国の政党はいわば議員政党である。民主主義を育てるためには議員政党感覚では間に合わない。議員諸君が議員たるために「常在戦場」意識で活動するのでなく、民主主義を育てるために「常在戦場」意識を確立せねばならない。政党の運動を大きくするという目標が必要である…

タグ: 憲法 民主主義 綱領 政党 公共

発信時間: 2013-03-11 11:09:47 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

民主党が2013年度定期大会(2/24)で綱領を制定した。前文では、現在を大きな変革期と位置づけ、持続可能な社会の再構築を掲げ、国民政党として再生し、政権に再挑戦するとある。綱領は短いものである。2009年政権獲得後、党内が極めてごたつき、挙句分裂に到ったことから、党として、綱領には、理念を明確に絞り込もうとしたのであろう。

『私たちの立場』とする民主党の立脚点を、「生活者・納税者・消費者・働く者」に置く。そして政党の存在理由を「改革政党」とした。改革の対象は、政治改革・行財政改革・地域主権改革・統治機構改革・規制改革などだ。

われわれは巨大な現代社会と離れては生活できない。個人が社会を作っているのであるから、社会の活力は個人生活の総和である。時代状況は常に動いているから、社会の主体者が常に必要な改革を起こさねばならない。

保守党を標榜しようが、改革党を唱えようが、時代状況に対して的確な働きかけをするのが政党の仕事である。従来保守党は財界党としての色が濃いから、民主党が非力な個人の視線に立つというのは極めて妥当である。

そこで『私たちの目指すもの』は、①共生社会をつくる、として、a)「新しい公共」を進める。b)正義と公正を貫く。c)幸福のために経済を成長させる。――の3項目を掲げた。

「新しい公共」では、「公を担う市民の自治を尊び、近代以降、官が独占してきた《公共》をそれぞれの主体に還す。」とある。これは従来、公といえば官であり、お上であった事情(と認識)を、そうではないのだ、公とは国民各人なのだという認識に全面的に転換しなければならないという問題意識を鮮明にしたのであろう。

大事なことは、封建社会から近代になっても、国民各人が公なのだという認識が薄く、「公=官=お上」が長く継続してきたことである。敗戦後に日本国憲法によって民主主義となった時点で「公=各人」になったはずであるが、憲法が変わっただけでは容易に変わらず今日に至っている。

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