日本国内ではここ数日、考慮に値する二つの事が起こっている。一つは、安倍晋三内閣が憲法改正を鳴り物入りで進めていること。もう一つは、 安倍内閣の閣僚の一部(麻生太郎副首相を含む)がA級戦犯のまつられた靖国神社に参拝したことだ。この二つは関連しないもののように見えるが、非常に複雑で入り組んだ関係を持っている。安倍内閣は第二次世界大戦後に60年余りにわたって施行されてきた平和憲法の修正をはかっている。その中心的な意味は、日本の軍備拡張を抑えてきた“たが”を外すことである。一方、安倍内閣の閣僚による靖国神社参拝は、軍拡拡張と戦争準備の道を再び歩み、海洋権益を奪取するための気勢と空気とを作り出すことを目的としている。この二つの事は互いに関係し強め合うものであり、日本の右翼勢力の支持を取り付け、右翼勢力との合流もいとわないという安倍内閣の危険な傾向を示している。こうした危険な傾向や意図に対しては、断固として反対し、真意を暴き、その発展を抑えなければならない。
第一に、靖国神社参拝の流れと“平和憲法”改正の行動とは、これを放置しておけば、第二次世界大戦後に形成された正義と良識の世界史を覆し、第二次世界大戦の戦勝国が血をもって作り上げた国際秩序と国際構造を損なうことになりかねないからである。よく知られている通り、日本の憲法の精髄は「戦力の不保持」と「交戦権の否認」にある。安倍内閣の憲法改正の目的は、この精髄に手を加え、“自衛隊”を“国防軍”とし、集団的自衛権を保持するために道を開くことにある。問題はここにある。もしも安倍首相が日本憲法への“大手術”を実現したならば、第二次世界大戦の侵略と暴行を日本が本当に反省することは難しくなり、靖国神社への参拝も大っぴらな常態となるだろう。憲法がもし変わってしまえば、参拝を抑える“たが”も外れてしまうからである。
第二に、靖国神社参拝の流れと“平和憲法”改正の行動とが際限なく拡大して行けば、健全で平和的な思想と良識を持った日本国内の人々と政党の呼びかけが圧迫され、声を上げる余地がますます小さくなってしまう。良識のある人々と政党とが脇に追いやられ、保守右翼勢力が日本の政治中枢を占有するようになれば、良識のある人々と政党と影響力はますます薄れていく。そうなれば日本の右翼保守主義者による恣意的な歴史歪曲もさらに簡単となり、政権内部に入り込んだ右翼勢力は日本をさらに危険な境地へと追い込んでいくことになるだろう。(中国社会科学院日本研究所 厖中鵬)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年4月24日