記事の内容では、「お客への奉仕態度」や「人事研修」というところに主眼が置かれて書かれていますが、僕はワタミ社のもう一つの真の意図はそういうことではなく、「日本文化をベースにした奉仕的作法のエンターテイメント化」があるのだとおもいます。膝をついてしっかりと日本式のおもてなしができる料亭風の和食割烹なんて海外であまりみかけないですし、料理は非日本人が開店した和食屋(似非和食屋)に模倣されるかもしれませんが、このあたりの細かい「振る舞い」は一朝一夕には模倣されません(つまり、他企業の参入障壁をつくります)。
海外店舗での日本の高度な礼儀作法トレーニングということと、この「エンターテイメント的作法」は別物で(企業としては「人事研修」と「マーケティング手法」として2つの別のものとして分類される)、比較的前者はすでにおこなってきた日本の企業は多いものの、今後クールジャパンとして注目されていくのが楽しみなのは後者の取り組みですね。日本人にとっては、「普通の日常風景」である文化的な何か作法が、海外においてはエンターテイメントになる、これってまさにクールジャパンのビジネスモデル化、マネタイズの一つの例なのであります。
ある意味、「普通の日本」がクールジャパンとなりえるわけで、これを日本国内だけで生活している日本人が把握するのは、結構難しいことだったりします。だって「普通のこと」なのですから。
そうなると、逆説的ですが、クールジャパンを産業的に成長させるには、海外からの視点が必要で、日本人以外の方の感覚をどうとりいれるかというのがクールジャパンをビジネスとして事業化できるかの鍵だったりするでしょう。キーパーソンは、グローバルな視点をもてている(海外生活をしている)日本人人材か、外国人(非日本人)で日本文化をチェックしている人材です(ちなみに、政府のクールジャパン推進会議のメンバー、秋元 康 議員、角川 歴彦 議員、金 美齢 議員、コシノ ジュンコ 議員、佐竹 力総 議員、千 宗室 議員、依田 巽 議員の構成を見ますと、どちらかというと単独個人のクリエーターの皆様が多いという印象をうけます。海外マーケットをビジネス的に熟知した構成という訳では無さそうです。)。