軍国主義者が日本を危険に向かわせる手段は、往々にして匍匐前進型だが、一歩また一歩と危険な方向に邁進する。強硬な発言、敵対視を強める政策の一つ一つが、軍事化に向かって前進している。例えば集団的自衛権について、安倍首相は改憲の圧力が大きいことに気付き、憲法の解釈の見直しという手法に変更しているが、本質的には改憲に歩み寄っている。これは右翼分子の常套手段だ。
安倍首相の言行には「僥倖心理」(棚から牡丹餅のような幸運を願う心理)が色濃く示されている。安倍首相は常に限界ラインの縁で新たな跳躍を実現しようとしており、周辺諸国との関係を賭け金にしている。安倍首相は個人的な政治人生を賭けに出し、さらに日本社会を乗っ取り、日本の右傾化を促している。
安倍首相が右派分子になったのは、個人的な原因のみではなく、日本の伝統的な政治の雰囲気によるものでもある。右翼勢力は徹底的に清算されておらず、高い実力を持っている。さらに近年になり不穏な動きを見せており、これまで長年に渡り蓄積してきたエネルギーを、安倍首相の政権運営時に爆発させるかもしれない。また右翼勢力は中国の脅威を喧伝し、力強いリーダーが日本を率い、中国の挑発に応じるよう呼びかけている。
安倍首相はこれまで右寄りであったが、今や右翼の政治勢力の代表者になった。安倍首相は現実主義者であり、同時に「理想主義者」でもあり、明確な政治目標を持っている。軍国主義の復活が日本を支配するかについては、現時点の問題にすることはできないが、安倍首相は確かに右翼勢力の渇望する強者になっており、安倍首相も彼らの期待に徐々に近づいている。(筆者:周永生 中国外交学院国際関係研究所教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年9月28日