2.開催費用
これまでのニュースを見ると、東京オリンピックの予算はわずか33億ドルとまれにみる少なさである。北京オリンピックの10分の1でしかない。
1964年の東京オリンピックでは、競技場建設などで3000億円の予算を投入している。また新幹線など交通機関の建設にも数兆円を投じた。これらの投資は当時のGDPの10%に当たる。しかし現在、日本政府は同様にやりたいと思っていても先立つものがない。債務が1000兆円ある状況では、大規模な予算を使ってオリンピック関連施設を建設することなど無理な話なのである。
もちろん東京のインフラはすでにかなり整っており、初期投資は少なくて済む。しかしこの予算はさすがに少額に過ぎる。近年のオリンピック大会を見ると、予算と実際の金額が異なったケースが多い。アテネ大会の当初は56億ドルだったが、最終的には146億ドルに膨れ上がった。北京大会も当初予算は22億ドルだった。直近のロンドンオリンピックは93億ポンドを費やしたが、当初予算の24億ポンドを大きく上回った。
2020年に行われる東京オリンピックは、経済停滞する日本で開催される。高度経済成長前夜だった1960年代の日本とは異なるのだ。
現在、日本の債務は欧州のそれと比べても深刻である。2012年の日本の債務はGDPの214.3%に達する。ギリシャやイタリヤをはるかに超える世界一位だ。また安倍晋三氏が首相になって以降、新たな国債の発行は53兆円以上に上る。これは2012年のGDPの11.2%である。最新データによると、日本の債務総額はすでにGDPの250%を超えている。
アテネ大会と比較すれば、ギリシャではオリンピック大会での出費がかさんだ上、短期的な経済成長をもたらすこともできなかったことから、その後債務危機の悪夢にうなされることになった。安倍首相がオリンピックを日本経済の停滞を救うものとみなせば、逆に日本はギリシャの二の舞になる可能性もある。