米国は改定後の新たな「日米防衛協力の指針」が日米の防衛分担における自衛隊の役割を拡大するとしているものの、安倍政権が打ち出した自衛隊の「敵基地攻撃能力」保有について協議後の共同声明ではまったく触れられなかった。
米戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長のマイケル・グリーン氏は「日本に敵基地攻撃能力の保有を許すとしても限度があり、最終的に反撃するのはやはり米国だ」と語る。なぜなら日本が敵基地攻撃能力を保有すれば、日中関係だけでなく、日本と同じ米国の同盟国である韓国との関係もさらに悪化しかねないことを米国は懸念しているためだ。
対中関係に関しても日米の態度はうわべでは一致しているようですれ違いがある。日本側が中国に対して強硬なのに対してケリー米国務長官とヘーゲル米国防長官は直接は中国に言及せず、合同記者会見でも釣魚島(日本名・尖閣諸島)には触れなかった。オバマ政権はこの問題に巻き込まれたくなく、米高官の態度は中国を牽制すると同時に、日本政府にも自制を忠告している。米国は自らが主導する対中関係を望んでいるといえる。以前の米国は日本をアジアの足掛かりとみなしていたが、今の米国は日本を中国に対抗する「支点」としかみていない。
米国は沖縄でのオスプレイの訓練時間削減を約束しているが、在日米軍の強い要求でオスプレイは今後、もっと多くの日本の市町村の上空を旋回するに違いない。米軍5000人はグアムに移転するが、日米が締結した協議に従い今後、米軍将兵の姿をより多くの自衛隊基地や米軍基地でみるに違いない。在沖縄米軍の数は減ってもアジア太平洋に配備される米軍の数は減るばかりか増える。その上、ペンタゴンは海軍艦船の6割、空軍の海外軍事力の6割を太平洋に配備する計画だ。
「将来中米が駆け引きする時代が来る。米国の管理統制からの脱却を図る日本は最後にはやはりお先棒担ぎでしかない」と専門家は予言する。(日本新華僑報編集長 蒋豊)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年10月10日