「東アジア1位、2位、4位の経済大国の間で新たな争議が勃発」と仏AFP通信は20日、安重根(アン・ジュングン)の記念館が中国北東部のハルビンに開設されたことをめぐって、中国・日本・韓国がもめていると報じた。朝鮮半島の歴史上の著名人である抗日志士の安重根の記念館がハルビンに開設され、20日に一般公開が始まった。日本の菅義偉官房長官は20日の記者会見で中韓両国に抗議し、「中国と韓国が一方的な評価に基づき、連携して国際的に展開している動きは、地域の平和と安定した関係の構築に資するものではない」と批判した。菅氏は「安重根はわが国の初代首相を殺害し、死刑判決を受けたテロリストである」と述べた。日本の『読売新聞』20日付によると、外務省の伊原純一アジア大洋州局長は中国、韓国の駐日公使に電話抗議を行い、「日本の立場と相いれないものだ」と伝えた。日本・韓国のメディアも20日、この問題をめぐる論戦を繰り広げているが、「歴史問題において、中国と韓国が連携して日本に対抗しようとしている」との見方は同じのようだ。
日本の抗議に対し、中国外交部の洪磊報道官は20日、「安重根は著名な抗日の義士であり、中国人民に尊敬されている人物である。中国は国内の関連規定に従って記念館を設立しており、完全に正当で理にかなっている。日本の抗議は受け入れられない」と述べた。洪報道官は「このところ、日本の指導者は歴史問題において、時代に逆行し、正義にもとる行為を繰り返しており、アジアの隣国と国際社会は強い警戒と反発を示している。日本が歴史をきちんと正視して反省し、態度を改め、過ちを正すこと、そして、実際の行動でアジアの隣国や国際社会から信頼を得ることを要求する」と述べた。韓国聯合通信によると、韓国外交部は20日、報道官名義の論評を掲載し、「安重根は祖国の解放を実現させ、東方国家の真の平和のために身を捧げた偉人であり、世界中から英雄視されている。伊藤博文は武力を動員して朝鮮半島に対する侵略を主導し、朝鮮半島と北東アジアの平和を乱した。当時の朝鮮半島の人々に大きな苦しみを与えた張本人である」と批判した。更には、「日本政府を代表する人物である官房長官が無知で、歴史に逆行するような発言をしたことに驚き、呆れている。これは日本の政治指導者が誤った歴史認識を持っているだけでなく、過去の侵略の歴史を美化していることを意味する」と指摘した。
伊藤博文は日本の朝鮮半島に対する侵略を主導しただけでなく、1894年の中日甲午戦争(日本名・日清戦争)の元凶でもあり、敗戦した清国に屈辱的な「馬関条約(日本名・下関条約)」の締結を強要した。1909年10月26日、安重根は中国のハルビンで伊藤博文の暗殺に成功したが、その場で逮捕され、1910年3月に絞首刑に処された。日本・時事通信社は20日、ハルビン駅の「貴賓待合室」を改造して安重根記念館を開館し、「VIP級」の対応をした中国だが、昨年末の安倍首相の靖国神社参拝を受けた中韓の「反日共同戦線」の強化が背景にあると報じた。また、同報道によると、中国政府は抗日戦争の主要舞台となった東北地区を愛国主義教育基地と位置付けており、多くの抗日記念館を開設した。しかし、外国人を記念して設立されるのは「異例の事」である。中国は日本の軍国主義による残虐行為の宣伝をより一層強めるだろう。今年は甲午戦争120周年に当たり、伊藤博文は「馬関条約」調印時の日本側の全権大使であり、安重根記念館の開設は、対日圧力を強めるためだとの見方もあるという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年1月21日