次に、日印が経済協力関係を強化したからといって、中国を制約するインドの積極性を刺激できるとは限らない。安倍首相は今回の訪問で、インドにいくつかの「プレゼント」を贈った。まずは首都ニューデリーの地下鉄建設を中心とする、総額2000億円の円借款だ。新幹線輸出について、双方は2015年7月までに共同調査を完了し、結論を下すことになった。日本はインドに原発設備の輸出を希望しており、日印原子力協定の締結交渉を加速している。
安倍首相は、インドが最も必要としているインフラ建設の資金と技術を突破口とし、インドにおけるエネルギー・インフラに投資することで、インドとの感情的なつながりを早期構築し、インドを抱き込み中国を抑制する地ならしにできると考えていた。しかしインドは、日本と経済協力関係を拡大できると考えているが、これには中国に対する「政治的意味」が伴うとは限らない。
インドと中国はBRICsを構成する国である。インドにとって、中国、ロシア、南アフリカ、ブラジルといったBRICs諸国こそが、経済・政治面で協力関係を深化させたいパートナーである。日本はインドと経済協力できる国であるが、インドが依存しなければならない経済協力国ではない。貿易額も、存在する問題を示している。インドと中国の貿易額は、2002年の49億5000万ドルから2011年の736億ドルに拡大し、2015年には1000億ドルの大台を突破する見通しだ。一方でインドと日本の貿易額は、2011年の時点で140億ドルのみとなっている。中印貿易額と日印貿易額は対照的だ。
インドの対外経済協力は、日本のみに依存することはなく、インド経済の発展を促進するのも日本のみとは限らない。安倍首相はインドに資金と技術の支援を提供すれば、日本と手をつなぎ中国を制約する気持ちになるはずと考えていたようだが、これは安倍首相の勝手な思い込みである。インドは日本のために「火中から栗を拾う」というリスクを冒そうとはしないし、この「栗」が日本に利益を与える可能性が高いことを自覚してもいる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年1月28日