さらに、インドは自国が近年、米国や日本などの西側の大国が抱き込もうとする対象になっているのは、自国の独特な地政学的な位置によるものであることを知るはずだ。インド半島はインド洋の重要な航路を封鎖できる要衝である。インドは中国との間に長い国境線を挟んでいる。インドは中東と東南アジアを結ぶ大陸の橋、東アジアと西アジアが必ず通過する陸上・海上ルート、東アジアが太平洋・欧州・アフリカとの間を行き来する陸と海のルートである。これらの地理的なメリットにより、米国と日本はインドを有利で戦略的価値を持つ地政学的な拠点、戦略的な橋頭堡としている。ゆえにインド半島の戦略的な利益を手にした国がインド洋をコントロールし、インドをコントロールし中国を抑制した国が、東南アジアと中東に対して二重の戦略的影響力を持つことになる。この地政学の要素について、インドは十分に理解している。インドはこの自然に備わっている戦略的価値を利用し、その戦略的な効果を発揮しようとしており、日本や米国などの他国がこれを独占することを許すはずがない。インドはこのメリットを利用し、多くの国家間で巧みな駆け引きを展開できる。つまり完全に米国に依存することもなく、日本を完全に信頼することもなく、インドの地政学的な価値を重視する米日の心理をつかみ、機に乗じインドに有利な戦略的利益を得ようとするだろう。
最後に、日本は米国の警戒を見落としているかもしれない。日本がインドとの関係を深化させる重要な戦略的目的は、南アジア、インド洋、さらには中東における戦略的影響力の拡大だ。日本はこれにより軍拡をし、インド洋で海と空の軍事力投入を拡大する戦略的準備を整えようとしている。インド洋の持つ海と空の戦略的な価値を、米国が知らないはずがない。米国はしかもインド洋で自国の海・空軍の基地を保有しており、日本が米日同盟の制限を突破し、単独で南アジア・インド洋で影響力を発揮することを容認するはずがない。政治・軍事大国になり、南アジア・インド洋で単独の影響力を示そうとする日本は、米国の戦略的利益に合致するはずがない。(筆者:厖中鵬 中国社会科学院日本研究所の学者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年1月28日