2月17日付のロシア紙「ニェザヴィーシマヤ・ガゼータ」は、「露日間の信頼と不一致、複雑な問題の解決は『急いては事を仕損じる』に」(筆者はロシア科学院極東研究所日本研究センターの研究員)と題する記事を掲載した。
ここ一年来、日本メディアの中で、ロシアに領土返還を求める記事が大幅に減少しており、かつてほどの憤りも感じられない。政府にせよ多くのメディアにせよ(保守派を含む)、いわゆる北方領土問題において、手厳しい言論の発表を避けている。ここからは日本の領土問題に対する立場に、ある変化が生じているような印象を受ける。
特に日本はこのほど平和条約のみに触れており、「領土問題」を平和条約締結の前提条件にするという主張が弱まっている。しかしこれは表面的な現象に過ぎず、現実、および日本の同問題解決に対する真の立場を正確に反映していない。
まず日本のロシアに対する「領土要求リスト」には何らの変化も生じていない。次にいわゆる「固有」という言葉は、日本の政治勢力がロシアにより多くの領土返還を求める、客観的な前提条件を提供している。それから日本は2003年に両国が「行動計画」を締結してから、日本に有利な領土問題の解決を主張し続けている。
安倍首相は再任後、露日関係におけるこの最も重要な歴史問題の解決に全力を尽くすと、さまざまな場面で飽きることなく繰り返してきた。安倍首相は「領土問題および平和条約に関する交渉を加速したい」と発言し、日露関係の「秘められた潜在力」を利用すると故意に曖昧なことを言っている。
安倍首相は、プーチン大統領との個人的な付き合いと信頼関係を構築するため苦心惨憺し、これが領土問題の解決を促すと考えている。そのため安倍首相はソチの第22回冬季五輪の開幕式に出席した。米国や主な西側諸国の指導者がソチ五輪の開催に反発する中、安倍首相が開幕式に姿を見せ、日本メディアに大々的に取り上げられた。また安倍首相が出席によりプーチン大統領への支持を表明し、両者の信頼関係の強化を促すと判断された。しかしこのような分析は、次の事実を無視しているようだ。安倍首相は東京で開かれた、北方領土の返還を求める「北方領土の日」の集会に出席してから、まっすぐソチに向かった。
日本メディアも積極的に安倍首相のためムードを盛り上げており、プーチン大統領と安倍首相の関係が特別なものであることを故意に誇張している。NHKは、プーチン大統領は安倍首相を冬季五輪開幕式に招待したと報じたほどだ。このような招待を出す権利は、国際オリンピック委員会にしかないのだが。
日本メディアは安倍首相が力を尽くし、領土問題解決の取り組みを加速していると、宣伝を強化し続けている。
プーチン大統領の今年秋の訪日についても、日本メディアは宣伝に空前絶後の積極性を見せている。この状況の中、こういった「神話」に対しては警戒を維持し、訪日の成果を過度に期待するべきではない。なぜなら最終的に失望に変わる可能性が高いからだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年2月19日