環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合が19日、シンガポールで始まった。同会合には米国を含む12カ国の代表者が出席し、2日間に渡り開かれる。
シンガポール通商産業省が19日に発表した情報によると、同会合は非公式で開かれる。出席者には開催国のシンガポール、米国、日本、豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、ベトナムなどの貿易相・次官もしくは交渉担当者が出席する。今回の閣僚会合の開催前に、各国の主な交渉担当者と一部の専門家は、11日から17日にかけてベトナムで事前交渉していた。
ニュージーランドのティム・グローサー貿易相は当日の交渉後、「交渉の焦点は、貿易ルールと市場進出条件の二つに絞られている」と語った。
前回の会合は2月にシンガポールで開かれた。会合後に発表された共同声明は、会合は最終的な締結に「一歩近づいた」と強調した。各国は昨年12月の会合で確定された「潜在的な着陸点」の大半の内容で合意に達したが、市場進出条件は依然として未解決の問題となっている。各国はさらなる努力が必要だ。
今回の会合の前に、交渉における二つの最大の経済体である米日両国は、オバマ大統領の訪日中の両国首脳会談で、TPPの幅広い共通認識を形成することができなかった。オバマ大統領は訪日中に、農産物および自動車の市場進出条件などの重要な問題を巡り、日米両国がほぼ合意に達したと表明した。
共同通信社は19日に消息筋の話として、「今回の会合で画期的な進展があるとは思えず、幅広い共通認識の形成は困難だ。出席国は今回の機会を利用し、現在までの交渉で得られた進展をまとめ、現在の情勢について詳細に分析する」と伝えた。
日本は現在、米、小麦、砂糖、乳製品、牛肉・豚肉の輸入関税で譲歩を示しておらず、米国は日本車に対する輸入関税を極力維持しようとしている。両国はこの二つの問題で膠着状態に陥っているが、これはTPPの締結を遅らせる重要な原因となっている。
米国のマイケル・フロマン通商代表は、日本側のTPP担当相、経済産業大臣の甘利明氏と会談する。甘利氏もシンガポールを含むその他の6カ国の代表者と会談する。
観測筋は、「日米の対立が交渉の鍵となっていることから、その他の国はほぼ静観を決め込んでおり、米日の4月の交渉の成果を判断している」と指摘した。
他にも各国の間には、市場進出条件、知的財産権の保護、国有企業などの面で意見の不一致を残している。交渉を主宰する米国は、「貿易促進権限」を求める国内からの圧力に直面している。グローサー貿易相は、「ニュージーランドは貿易促進権限がなくても交渉を進めることができるが、最終的には米国議会の承認が必要だ」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年5月20日