G7首脳会議の前日、安倍晋三首相は西側の主要先進国に、中国を集団批判させると豪語した。しかし事は願いどおりにならなかった。首脳会議が6月4日に発表した声明は、東中国海と南中国海の情勢に注目すると表明するに留まった。ややおせっかいな印象はあるが、日本側に明らかに肩入れすることはなかった。外国の助けを借りて自国の地位を高め、他国と協力し中国を包囲しようとする日本の狙いは、再び空振りに終わった。このような結末は、不思議なことではない。
まず、戦略的な位置付けと利益の差が、西側諸国が日本の「指揮棒」に従わない理由となった。
西側諸国は一枚岩ではない。G7内部には、同じく「三つの世界」が存在する。米国は唯一の超大国で、世界一の地位を占めている。米国の実力は衰え続けているが、世界の覇者を担当し続ける意気込みを見せている。オバマ大統領はこのほど、米国は世界を100年リードし続けると表明した。ゆえに米国は台頭中の中国に対して戦略的な焦りを感じている。戦略の重心を東に移すのは、中国を抑制するためだ。日本は敗戦国であり、西側世界においては「第3位」に格付けされている。その軍事・政治的な権益は、戦後の国際秩序によって厳しく制限された。ゆえに日本は長期に渡り、「経済の巨人、政治の小人」といういびつな状態にあった。日本の右翼の政治家は再起し、いわゆる「正常な国」になり、アジア太平洋の秩序を再びリードしようとしている。米日は先ほど閉幕したシャングリラ会合で呼応し、心を通わせ中国のイメージダウンを図った。しかし米日という二つの極端な国の間には、英・仏・独・伊・加などの「第2の世界」の国がある。これらの国はアジア太平洋から遠く離れており、世界に覇を唱える野心も持っていない。ゆえに中国の復興・台頭を羨みながらも、戦略的な焦りよりも、経済的なチャンスを見て取っている。これらの国と中国の間には、衝突よりも交流や協力が多く存在している。EUは中国最大の貿易パートナーとなっているが、各国はこの利益に縛られ、対中政策で米日よりも自制的になる。利害の面から見ると、英・仏・独などの国は日本のために前に出て、いわれもなく中国の心象を損ねる必要はない。