1995年に問題が生じてから現在に至るまで、普天間基地移設問題は未解決のままで、日本の政治家が退任を迫られる「障害物」となっている。これは紛れもなく、その戦略的価値と関連している。冷戦時代に、普天間基地はアジア大陸の第一列島線の重要な位置を占めていた。普天間基地はある意味、米国の台湾海峡および朝鮮半島情勢への介入、ソ連の東アジアでの拡張のけん制で重要な力を発揮した。現在、米国の「アジア太平洋リバランス戦略」の推進に伴い、普天間の戦略的価値が自ずと無視できないものとなった。
米国はこれを極めて重視しており、カーター国防長官を派遣し基調を定めた。さらに日米の安保懇談会で移設先を決定し、最後に安倍首相の訪米中に両国首脳の共通認識を形成した。米国は移設後、日本で利用可能な基地がなくなることを懸念している。日本側は米国が移設しなければ、民意に背くことになると懸念している。
安倍政権は、次のような折衷案を出した。普天間基地を移設しなければならないが、移設先を沖縄県内の辺野古にするというのだ。これは明らかに米国への譲歩だ。なぜなら沖縄県民の最終目標は、米軍基地の完全な県外移設だからだ。安倍首相はかつて、新たな基地負担軽減策と沖縄振興予算という2つの有利な条件を提示し、米軍基地の県外移設を主張してきた仲井真弘多前知事を説得した。しかし後継者の翁長雄志知事が普天間基地移設計画に断固反対し、異変をもたらした。安倍首相はこれに頭を痛めている。
安倍首相は民意と米国の板挟みになっているが、それほど苦しんでいるわけではない。安倍内閣にとって、民意は重要なことではない。翁長知事は5月下旬に訪米し、「普天間基地移設反対」を訴える予定だ。日米の政府はすでに共通認識を形成しており、この訪米が実を結ぶことはない。安倍内閣の国内外の威信とイメージに悪影響をもたらすのがやっとだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年5月12日