移民という「パンドラの箱」を開ける前に、日本は女性の雇用促進により、日増しに減少する労働力を補おうとしている。
アベノミクスの「3本の矢」の重要な一歩として、安倍晋三首相は就任以来、一連の改革により女性の職場復帰を促し、女性が管理職に占める比率を高めようとしている。しかしながら、この2年以上に渡る取り組みの効果は微々たるものだ。その他の先進国と比べ、日本の職場はほぼ男性主義だ。この局面を一日にして覆すことはできない。
労働力の拡大
日本は近年、高齢化社会に突入し、人口構造が巨大な変化を迎えている。労働力の減少は、日本政府の最も厄介な問題となっている。日本の総人口は現在約1億2700万人だが、労働力人口は1997年のピーク時の6810万人から約250万人減少している。また今後45年内に、総人口が4000万人以上減少する見通しだ。
「男は外、女は内」という伝統的・社会的な分業や、女性が結婚・出産を機に離職するといった原因があり、日本の働く女性の数はその他の先進国を大きく下回る。
日本社会全体が、女性は結婚・出産後に離職すると考えているため、一部の企業は女性に重要な役職を任せようとしていない。
先進国のうち、日本人女性の教育水準は最高であるが、労働市場に進出する女性の比率は最低だ。日本では高齢化が深刻化しており、出産奨励と女性の雇用促進が政府の大きな課題となっている。女性の職場復帰は、日本の労働力を拡大する手段の一つであり、これによって経済のエネルギーを拡大できる。
国際通貨基金(IMF)は、性差別を解消できれば、日本の経済成長率を0.25ポイント高めることができると指摘した。これは経済成長率が過去20年に渡り1%未満で推移した日本にとって、大きな幅と言える。
女性の雇用促進は、日本経済に二重の利点をもたらす。まず、労働力の規模を拡大できる。日本人女性は高い教育水準を持つため、同時に生産能力を拡大できる。次に、日本の男女は平等な教育を受けているが、雇用は平等ではない。ゆえに女性の雇用促進は、労働力の平均的な技能水準を高める。
米ニュースサイト「Quartz」は、日本人女性の職場進出は、経済に二重の打撃をもたらすと報じた。ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は、「女性は労働力の規模を拡大すると同時に、高学歴のため労働生産性を高める。しかし日本人女性の職場進出は、雇用機会の増加ではなく教育水準の高さのためだ。ゆえに女性の進出は労働力の平均的な技能のハードルを引き上げ、かつ出生率を低下させる可能性がある」と懸念した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年5月18日