第二に、「一帯一路」に地政学的な野心はない。マーシャル・プランには強大な戦略目標があった。米国は欧州を援助することによって、米国主導の世界資本主義体系に欧州を取り込み、ソ連を初めとする社会主義陣営を抑え込み、冷戦で勝利し、米国の世界的な覇権を守ろうとした。米国には具体的な目標が二つあった。一つは援助を通じて欧州市場を占領すること、もう一つは欧州の共産党勢力の発展を抑制することだった。
中国が「一帯一路」戦略を打ち出したのは、経済協力を通じて地政学的な利益を得ようとするものでは決してない。中国と沿線各国とに共通するニーズから出発し、経済交流と協力を通じて沿線各国との相互利益とウィンウィンを実現しようとするものである。中国は国際政治と外交において「平和共存五原則」を一貫して堅持し、「覇権は求めず、同盟を組まず、他国の内政には干渉しない」という原則を貫き、公正で合理的な新型の国際関係の構築を推進してきた。「一帯一路」も同様にこの原則を貫くもので、いかなる地政学的な野心もない。