第三に、「一帯一路」は政治・安全保障のブロックとはならない。マーシャル・プランは経済援助以外に、明らかな政治・安全保障の目的があった。米国は欧州の危機に乗じて、経済援助によって欧州を米国が主導する冷戦へと取り込み、世界資本主義陣営を形成し、集団的な安全保障組織である北大西洋条約機構(NATO)を築き、米ソの両極が対立する局面を形成した。マーシャル・プランの後、米国と欧州の間には経済的な協力関係が築かれただけでなく、政治・安全保障・イデオロギーなどの面でも同盟または準同盟関係が確立された。
「一帯一路」の建設は、経済協力や経済・貿易交流、人文交流の展開に重点を置くものである。政策面での疎通を強化し、道路の相互連結を強化し、スムーズな貿易を強化し、通貨の流通を強化し、国民間の心の通じ合いを強化し、国民の友好的往来と社会の交流を強化し、沿線各国の国民にそれぞれ必要なものを提供し、相互補完と相互利益を実現するものである。これらの戦略内容からは、「一帯一路」が、沿線各国と政治・安全保障面でのブロックを組もうとするものではなく、国際関係の重大な調整となるものでもないことがわかる。