日本の週刊誌は先ほど、安倍首相が個人的な集まりで酒を飲み口にした「本音」を掲載した。安倍首相は、「安保法制は中国が狙いだから」、「慰安婦問題は3億円あれば解決できるが、金の問題ではないため解決が難しい」と発言したという。(筆者:張敬偉 察哈爾学会研究員)
この「妄言」は本当に酒に酔った後の「本音」かもしれず、三流メディアが人目を引きつけるためのネタに過ぎないかもしれない。しかし北東アジアの中韓の日本に対する不信感が深まる中、特に抗日戦争勝利70周年記念という敏感な時期において、安倍首相の「本音」は中日韓関係の緊張を強めている。
本質的に論じれば、安倍首相の「本音」が非公式なものであった、もしくは世論の場におけるでっち上げであったにせよ、厳しい現実を反映している。これは北東アジアの3カ国の深刻な地政学的環境、脆弱な信頼関係のことだ。
中韓両国から見て、安倍首相の「本音」は常日頃の言行をそのまま反映したものだ。
日本の安保関連法案について。日本の狙いが中国であることは紛れもないことだ。安倍政権がこれを隠す必要はないばかりか、新たな米日同盟関係も中国を仮想敵国としている。波乱の情勢を迎えた西太平洋において、米国はアジア太平洋リバランス戦略で中国の「バランス化」を行おうとしている。東中国海には中日の釣魚島(日本名・尖閣諸島)の主権を巡る係争があり、南中国海では中国とフィリピン・ベトナムなどの国が島嶼の主権を巡り対立している。さらに米国は、航海の自由を何度も主張している。米日を軸とする西太平洋の海上同盟関係は、いずれも中国をターゲットとしている。日本の安保関連法案が中国をターゲットとしていないならば、狙いは誰だろうか?
慰安婦問題について。安倍首相はこれを否定する立場を何度も示しており、韓日関係の改善の構造的な難題になっている。安倍首相の酒に酔った後の慰安婦に関する発言は、一貫した立場とほぼ一致している。非公式であるがゆえに、公式よりも勝手気ままな発言をしたに過ぎない。
より重要なことは、安倍首相の「本音」と安倍談話の論理が一致していることだ。安倍首相は新たな談話によって、歴代首相が侵略の歴史に対して示した立場を覆そうとしている。安倍首相はこれに向け、十分に下準備をしてきた。まずは侵略戦争と植民地支配への言及を避け、謝罪しないことで世論に探りを入れ、それから世界の多国間・二国間の場で予行演習をした。安倍首相は侵略と植民地支配を否定し、アジア諸国に謝罪しないことで日本の歴史を修正し、自らの歴史的な立場を示そうとしている。