トムソン・ロイター社がこのほど発表した統計によると、今年1月1日から8月20日までに日本企業が発表した海外出資やM&A(合併・買収)の金額は合計7兆円を超え、昨年同期を77%上回った。世界の国際M&A案件のうち日本企業の占める割合は5.9%に高まっている。これらの数字は、日本企業が国際金融危機を経て海外での投資とM&Aの新時代に突入したことを示すものである。
「日本経済新聞」の報道によると、今年の日本企業のM&Aは、規模の大型化という特徴を持っている。1月から8月のM&Aの件数の伸びはわずか3%だったが、円安の影響を受けて買収額は大幅に膨らみ、M&Aの平均額は約170億円にのぼり、2012年の平均額98億円をはるかに上回った。このうち日本の保険業の大型M&A案件は特に際立っている。住友生命保険は8月11日、米国の生命保険グループのシメトラ・ファイナンシャルの4666億円での買収を発表した。明治安田生命保険は、米国のスタンコープ・ファイナンシャル・グループの買収を決めた。日本企業はこのほか、物流や医薬品、ITなどの分野でもM&Aを活発化している。
中国と日本の企業のM&A業務に長年にわたって従事してきたコンサルティング会社「マイツ・グループ」の池田博義CEOによると、日本企業の海外でのM&Aがここ数年活発化しているのは、第一に、日本企業が潤沢な資金を持っているためである。2008年の国際金融危機の発生以来、日本企業は、財務の安全を確保するために次々と投資を減らし、十分な資金を蓄積してきた。国際競争環境の激化に伴い、日本企業は、資金運用戦略の調整を始め、海外M&Aを活発化させることとなった。第二に、人口が減少し内需が伸びない状況下、日本企業は、海外市場を積極的に開拓することによって、縮小する内需を埋め合わせようとしている。第三に、企業が有効に資金を運用して資本収益率を高めることを求める株主の意識も、日本企業の海外での投資とM&Aの歩みを速めている。