明仁天皇が生前退位の意向をほのめかした重要な原因は、安倍政権による平和憲法の改正への懸念だと分析されている。
連立与党を含む「改憲派」が先月、参院選で3分の2以上の議席を獲得した。これは安倍政権が国会で「改憲動議」を出すための、重要なハードルを突破したことを意味する。自民党が2012年4月に発表した「日本国憲法改正草案」の、少なくとも2点の重大な改正内容が、明仁天皇の信念や価値観にもとる。明仁天皇は事実上、今回のメッセージで、自分の護憲の態度を間接的に表明した。
NHKが先月13日、初めて明仁天皇の生前退位の意向を伝えると、安倍首相は「そのような報道に留意している」とだけコメントした。しかし安倍首相は今月8日、明仁天皇がビデオメッセージを発表した後に態度を一転させ、「ご発言されたことを重く受け止めています。どのようなことができるのか、しっかり考えて決めなければいけないと思っています」と述べた。
毎日新聞は、安倍首相の態度に変化が生じたのは、民意を受けてのことだと論じた。主な世論調査によると、日本人の7−8割が天皇の生前退位に理解を示している。
過去を振り返ると、安倍首相は皇室制の改正にはっきり反対していた。小泉純一郎首相(当時)は2005年、皇室典範改正、女性の皇族による皇位継承の許可に前向きな態度を示し、「皇室典範に関する有識者会議」を発足した。しかし時の安倍晋三内閣官房長官は会議で、皇室典範改正の提案を批判し、慎重になるべきだと表明した。
自民党内の強い反対意見、2006年の文仁親王妃の懐妊により、小泉氏は皇室典範改正案の国会提出を見送ると発表し、悠仁親王の誕生後、法案提出の見送りを決定した。首相に初就任した安倍氏は2006年10月、参議院本会議で、悠仁親王の誕生により皇室典範改正の前提条件に変化が生じ、有識者会議の報告書が紙くずになったと述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年8月10日