「日本の中国人女性はなぜ帰国したがらないのか? 恐るべき真相!」――こんなタイトルの記事があったら、思わずクリックして見てしまうのではないだろうか。
SNSや友人間で繰り返し転載されているスキャンダラスなタイトルのこの記事だが、内容を大まかに言えば、「日本には、中国より便利で快適、おもしろいものがたくさんあり、離婚女性も住みやすい」というものだ。
この記事は、中国人女性が日本での居住を選ぶ原因として、(1)中国は衛生条件がひどい、(2)中国では主婦業は難しい、(3)中国で街歩きをしても楽しくない、(4)中国では何をするのでも人頼み、(5)日本の職場は人間関係が簡単、(6)離婚女性は日本の方が住みやすい――の6つを挙げている。
この記事には、日本の生活環境を称える言葉が並べられている一方、、具体的なデータは示されていない。読者が知りたいのはむしろ、日本に住む中国人の実際の生活状況と、彼らがなぜ日本に残ることを選択したかということだろう。
個別のケースを普遍的現象とみなすべきではない
日本総務省の2015年6月までの統計によると、中長期で日本に滞在する中国人は65万6400人で、日本最大の外国人コミュニティを形成している。男女比は43対57で、20歳以上の年齢層ではいずれも女性の数が男性を上回っている。男性が多いその他の在日外国人と比べると、20歳代から30歳代の女性が多い在日中国人は、より若く活力に満ちていると言えるだろう。
だが日本に長年住んでいる華人の姜さん(男性)は、中国人女性の多くが日本に留まるのに熱心だと感じたことはないと語る。
姜さんは、新たなメディアが盛り上がる情報時代にあって、個別のケースが普遍的な現象と考えられる傾向にあるのではないかと指摘する。姜さんの周りにも日本に住み続ける決断をした人はいるが、結婚もして子どももでき、そうするしかなかったという人が多い。
記者はかつて、中国駐日本大使館元総領事の許沢友氏を取材したことがある。
許氏によると、日本社会は実際には排外的な傾向が強く、中国人は新しく住み始めた人も昔から住んでいる人も苦労してる。日本には、大規模で深刻な中国人排斥はない。だが不動産の賃貸手続が面倒だったり、家賃を高く要求されたり、欧米出張でのビザ申請を却下されたりと、中国人が不公正な待遇を強いられることはある。