矛盾した心理、解消されるか
日本人の中国人客への「矛盾した心理」について、清華大学・野村総研中国研究センター理事・副センター長の松野豊氏は記者に対して「今年の春節(旧正月)の連休中、訪日中国人客の爆買いがピークに達し、日本メディアの中国人客の悪い所を伝える報道が激増した。日本人の嫌悪感はその時にピークに達したが、その後落ち着き始めた」と分析した。
松野氏は矛盾した心理の3つの原因を、次のようにまとめた。まず、中国人客は日本での消費の主力軍であり、また日本も東京五輪で4000万人の外国人を集めようとしており、中国人がその中で重要な地位を占めている。次に、日本の店舗は中国人への対策を見出した。当初は急に訪れた中国人客に戸惑っていたが、今は慣れている。最後に、中国人客の素養が向上している。
記者の取材を受けた日本の公務員も、矛盾した心理が解消されつつあると判断した。「中国人客は以前、団体ツアーで訪日しており、日本人と接触する機会が少なかった。知らぬ間に嫌われることをしていても、すぐに訂正できなかった。今後はビザ発給要件の緩和により、フリープランで訪日する中国人客が現地人と接触することになり、理解を促進する」
この公務員はさらに「日本のテレビ局の中国語を教える番組に、変化が生じ始めている。以前は主に日常会話を中心に教えていたが、今は中国文化を重視している。こうすることで日本人は、中国人の行為を根本から理解できる」と述べた。
記者の取材に応じた日本の公務員や専門家は、中日の民間感情の促進に前向きな観点を示した。ところが一部の調査データを見ると、「爆買い」をする中国人は日本人の矛盾した心理を大きく解消できない可能性があり、少なくとも中国へのマイナスイメージを覆すことはできないようだ。
訪日中国人客が延べ500万人に達した9月、日本の民間シンクタンク「言論NPO」が調査結果を発表した。日本人の中国への印象が悪化を続け、中国に対する印象は「良くない」(「どちらかといえば良くない」を含む)が91.6%に達した。この結果は内閣府が今年3月に発表した世論調査の結果とほぼ一致する。日本人の83.2%が中国に「親しみを感じない」と回答し、1978年の調査開始以降で最高となった。
松野氏は「中国人客の素養は改善されているが、短期間内に優秀になることはない。日本人も70年代に欧州を旅行した際に、素養が低く多くの指摘を受けた。当時の日本人は、欧州は先進国であり自国は新興国であると感じており、批判を受け入れやすかった。中国人は異なり、生まれた時から大国の誇りがあり、自信を持っている。そのため一部の中国人客は日本である行為の間違いを指摘されても、こうやって何十年もやってきたんだ、何様のつもりだと感じ、すぐに変えようとしない。これは文化の差であり、時間が必要だ」と語った。