このほど安倍政権は不穏な動きを続けている。防衛省は米国最先端のミサイル迎撃システム「THAAD」の導入の検討を開始し、来夏までにミサイル防衛体制を強化する具体策の制定に着手する。それから2017年度予算案の調整を開始し、防衛予算を5兆1000億円とする調整に入った。防衛費が5年連続で増加し、2年連続で5兆円を超え、過去最高額になる。
防衛費の5年連続増加とは対照的に、日本政府は社会保障費を削減し、国民生活を犠牲にし軍事費を賄おうとしている。時事通信などの報道によると、社会保障費の自然増は約6400億円にのぼるが、安倍政権はこれを5000億円前後に圧縮しようとしている。実際には、安倍政権は国民生活面で、多くの経費を必要としているはずだ。福島第一原発の放射能漏れ事故から5年以上が経過するが、原発周辺各地は依然として放射能汚染を受けている。今年7月5日時点で、福島県では8万9000人が避難所での生活を余儀なくされており、帰宅できずにいる。
安倍首相はいわゆる「地方創生」とうい旗印を掲げているが、福島県の被災者を心から重視しているわけではない。アベノミクスはほぼ徹底的な失敗となっており、地方経済の低迷の流れが覆せなくなっている。軍備拡張と右傾化路線により、「正常な国」になる道を狂奔しようとする、安倍政権の執念にゆらぎは生じていない。
安倍首相は2012年の就任以降、「地球儀を俯瞰する外交」を推進し、いわゆる「積極的平和主義」を掲げ、国際社会で存在感を強くアピールしている。同時に安倍政権は憲法に違反し、民意に逆らい安保法を強行推進している。戦後長年に渡る日本の「専守防衛」政策をかなぐり捨て、人為的に地域の緊張を強め、さらに自らを危険な境地に陥れている。平和憲法はすでに形骸化されているが、「戦争を放棄し軍事力を保持しない」という条項を徹底的に廃止しなければ、戦後レジーム脱却による「軍国の夢」を実現できない。そこで安倍政権は裏で手段を尽くし、鳴り物入りで改憲の手配を進めている。
日本の軍事・安全面の政策の動向は常に、アジアの隣国と国際社会から注目されている。これは日本が平和的発展の道を歩むか否かを判断する、バロメーターの一つである。右翼勢力が戦争責任を薄れさせ、侵略の歴史を美化する言行が日増しに猛威を奮っている。安倍首相が「侵略は合理的、侵略は功」と吹聴する靖国神社を公然と参拝する現実を受け、人々は日本が今後どのような道を歩むかを懸念する、完全なる理由と責任を持つ。