日本人の人知れない情報収集④日本人学者:中国研究は「宿命」

日本人の人知れない情報収集④日本人学者:中国研究は「宿命」。 「情報社会」と呼ばれてはいるものの、007やCIA、KGBなどのスパイ映画によくあるような組織やエピソードは、日本ではほとんど見られない。日本が重大で国際的な政治事件や軍事衝突を予測したというケースは多くなく、経済分野であっても、国際社会は日本の情報はほとんど用いない…

タグ: 研究 情報 経済

発信時間: 2017-06-27 11:41:28 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

「日本人が中国でのスパイ活動を理由に拘束された」。そんなニュースが相次いだことを受け、日本政府は一週間ほど前、中国での拘束を回避するための注意事項を国民に向けて発表した。これには、行ってはいけないところや、撮影をしてはいけないところが詳しく説明されている。ちょっと聞くとものものしいことが起こっている印象だが、「情報社会」や「情報民族」などと日本が呼ばれていることを考えれば驚くには値しない。

日本人の情報に対する敏感さやそれへの依存、収集活動の周到さは海外でも知られている。1960年代に日本が公開情報だけで中国の大慶油田の位置や規模を正確に判断していたという話を思い出す人も多いだろう。中国は日本の巨大な隣国であり、情報収集の主要ターゲットになるのは当然だ。日本の学界にとって中国研究は「宿命」とさえ言われる。だが情報の収集と分析に長けていれば、正しい判断と政策決定が可能だと言えるのか。日本はこの点で手痛い教訓を得ているが、この問題は依然、日本が中国に向かい合う時に考えるべき問題となっている。

 ①しきりに解剖台に乗せられてきた「中国」

 ②中国人との交渉術の教授本がベストセラーに

③日本の侵略には人類学者が大きく「貢献」

④日本人学者:中国研究は「宿命」

「情報社会」と呼ばれてはいるものの、007やCIA、KGBなどのスパイ映画によくあるような組織やエピソードは、日本ではほとんど見られない。日本が重大で国際的な政治事件や軍事衝突を予測したというケースは多くなく、経済分野であっても、国際社会は日本の情報はほとんど用いない。

日本の公安警察や密偵を担うメディアが最も得意なのは、国内の情報の収集と分析だ。日本の一部のメディアは日本では大きな情報能力を持っているが、国外に行くと、とても慎重になり、軍事的な立ち入り禁止区域での撮影や地図の作成を直接行うことは通常ない。

過去には大胆な在中国日本公館の武官が中国の軍事立ち入り禁止区域に直接乗り込んだこともあった。例えば2002年10月には、在中国日本大使館の天野寛雅武官が中国の軍事立ち入り禁止区域に入り込んで逮捕された。だがこうした状況は多くはなく、武官は通常、正式な場面での所在国の軍との公開交流を通じて、軍事情報を獲得する。またその他の国の武官と情報交換を通じて、自らの情報の精度を高めることもある。

中国の状況をよく知る日本企業の社員は『環球時報』記者に対し、「日本の政治的・経済的地位が中国人にとって高かった時には、中国から得られる情報の質も高かった。だが日本の経済的な地位は低下した。さらに日本はもともと政治・軍事大国でもないことから、現在中国で得られる情報の質はそれほど良いものとは言えなくなった」と語る。その原因は何だろうか。中日関係が相互不信の段階に入った後、日本の官僚や企業の日本人社員と中国側との交流もスムーズでなくなり、中国の官僚やシンクタンクなどから得られる情報も限られたものとなった。

日本の情報収集の98%は公開のルートに頼っている。日本は確かに、情報収集に長けており、日本企業の研究所や企画部門は、各種の新聞や雑誌、研究報告をできるだけ多く購読し、切り抜き、更新と修正を加えていくという習慣を持っている。このような系統的で長年にわたって積み上げられた情報はしばしば部外者を驚かせる。だがこのような周到で系統的な情報があれば、日本企業や日本政府が対中政策方針を冷静に制定できるということにつながるだろうか。

多くの場合、これには否と言わざるを得ない。例えば安倍首相は中国経済がまもなく崩壊すると信じている。そんな安倍首相に上げられる関連報告も自然と、中国の環境汚染や官僚の腐敗といった問題を取り上げたものに偏る。中国が今後も発展を続けていくという報告は、安倍首相のデスクにはなかなか届かない。企業も同様だ。中国経済に関する冷静で客観的な報告が企業の最高責任者に上げられたとしても、安倍内閣や日本の世論に惑わされ、中国がこれからも発展できると本当に信じている日本の企業家は多くない。

日本の出版業界ではここ数年、「中国崩壊論」を主張する書籍が蔓延している。また日本の戦争の失敗の原因をまとめた書籍も出現している。例えば1991年に出版発行された『失敗の本質』は、2017年に記者が購入した際、すでに63刷の増刷を重ねていた。同書によると、戦争中の日本の失敗は、十分な情報(諜報)が収集できなかったためではなく、戦略方針の誤りによってもたらされた。

中国を研究する多くの日本人学者は、古代の中国であれ、現代の中国であれ、日本に対しては「参照系」としての価値を持っており、日本は中国を通じて「自己」をより良く認識できると考えている。日本の中国思想史専門家の溝口雄三に『方法としての中国』という著作があるが、これによると、日本人の中国研究の実質は、中国を方法とみなし、日本文化の特質を分析・検証するための参照とすることだ。日本の中国問題専門家の毛里和子もかつて、中国研究は日本の社会科学にとっての「宿命」と語った。

もしも日本側が中国と常に交流できれば、対中戦略の制定においてこれほど対立を強調することはない。最後の2%の情報が得られなければ、水が98度まで熱されても沸騰しないように、日本の情報活動を本当に正確なものとすることはできない。多くの場合、戦略の誤りはそうして起こる。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年6月27日

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