海上自衛隊:潜水艦の品質に疑念
海上自衛隊にとっても、神戸製鋼所は重要な役割を演じている。川崎重工やIHIなどの日本の軍艦建造大手は、神戸製鋼所の提供する金属製品を大量に使用している。
日本の雑誌『世界の艦船』によると、自衛隊の艦船とりわけ潜水艦には、神戸製鋼所が提供している降伏強度の高い合金鋼が広く採用されている。中でも降伏強度が550兆パスカル、690兆パスカルに達する低合金高強度鋼は、神戸製鋼所の特殊技術「ニッケル・クロム・モリブデン系焼入れ+焼戻し熱処理」によって製造されたものだ。2006年に日本の潜水艦「あさしお」と韓国の貨物船が衝突した事故では、韓国の貨物船は漏水し、「あさしお」は船首が大きくへこむ被害を負った。米国の原子力潜水艦「グリーンビル」と日本の漁業実習船が衝突した事故では、日本の船舶は沈没した一方、米国の潜水艦の損失は軽微だった。同じ潜水艦と民間船の衝突であるにもかかわらず、結果がこれほど違うことに、多くの人は、日本の潜水艦の頑丈さに欠陥があるのではないかと疑念を抱いている。
銅材料と銅合金材料でも、海上自衛隊は、神戸製鋼所の製品を大量に利用している。良好な耐海水腐蝕性能を備えていることから、自衛隊の艦艇のプロペラとエンジンルーム内部の配管には、銅と銅合金が大量に使用され、神戸製鋼所の材料も多く用いられている。日本自衛隊を特に心配させているのは、日本の艦艇の設計時に、構造強度の冗長性について「極端な考慮」をしていないということだ。神戸製鋼所が「良心」にのっとって丁寧な仕事をしていれば問題はない。だがデータが偽装されていたとなれば、艦艇の性能が基準に到達しないという直接的な結果がもたらされることとなる。
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