福島第一原発事故はチェルノブイリ原発事故に告ぐ最悪の原発事故であり、放射性物質の漏れにより周囲20キロメートル内の住民8万人が避難した。付近の一部地域は放射線量の低下後に避難解除となったが、多くの住民が数十年経っても帰宅できず、永遠に帰れない人もいる。
福島第一原発の原子炉内部の放射線量は人が近づけないほど高く、数分で死に至るレベルだという。行動計画を制定するため、これまでに数体のロボットが中に入り撮影した。通常、大気中に存在する放射線量は毎時約0.02マイクロシーベルトだが、福島第一原発の2号機と3号機の放射線量は300マイクロシーベルトに達する。
この放射線量だと、3時間留まれば国際健康機構が定める1年間にさらされてよいとされる放射線の1000マイクロシーベルトを超え、1週間で10万マイクロシーベルトを浴びることになり、がん発症率が大幅に上昇する。
これは福島第一原発の第一線で作業する作業員約7000人が5年で浴びる放射線の上限でもある。作業員の約1000人は東電、残りの作業員は清掃作業を請け負う地元の建築会社の従業員である。3万円の日給で、「福島の英雄」たちは命の危険を冒しながら目に見えず、感覚のない敵と戦っている。