こうしたアプローチは、中国で注目されているイノベーティブな貧困削減のアプローチ─「産業扶貧」─の大きなポテンシャルを示唆しているのではないかとの印象を持っている。中国独自の、新しい貧困削減のアプローチとそこから得られた経験は、貧困人口を抱える他の発展途上国にも大いに参考となるものと期待される。
中国の貧困層は既述のとおり大きな減少を見せてきている一方で、なお大規模かつ多様な構成を持っており、人口の流動性が都市への流入民の脆弱性を高めるといった現象も看過できない。こうした新しい、複雑な情況への対策には一定の難しさがあり、大きな任務であろう。
こうした状況を踏まえ、2016年3月に制定された第13次5ヵ年計画において中国国内の貧困問題は従来にも増して重視されており、貧困村の撲滅、集合的貧困の解決などの目標が設定され、その達成のための様々な方策が講じられていくことであろう。
一方で昨年策定されたMDGの文脈で、世界の貧困削減における貢献もまた必要となっている。
中国は今後も対内・対外双方向の貧困削減を有機的効果的に連関させながら成果を上げていくものと信じているが、複雑化する世界状況の下、貧困を取り巻く問題も従来にない複雑性を有しており、必ずしも過去の経験がそのまま適用できるとは限らない。その一方で対策の面でも、民間資金やNGO/NPOとの連携など、新しいイノベーティブな連携の形も多く出始めてきている。そうした中でグローバルな課題に最大限貢献できるよう、是非お互いの学びを共有しあう、活発な情報交流ができることを期待したい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年10月18日