没落した帝国の英国だが、科学技術や経済、教育などではまだまだ国際的に高い地位にある。核大国の一つで、国連安保理常任理事国の一つでもあり、世界的に重要な発言権を持っている。日本が安保理常任理事国入りの夢をかなえるには英国の支持が要る。西太平洋と南中国海に介入する英国の画策も、同地域で発言権を強めたい日本の思惑にかなっている。
こうして中国の台頭に対する複雑な感情と利益の動機づけの下、軍事協力を強化したい日英の足並みはすぐにそろった。
だが日本はもう過去の日本ではないし、中国もすでに過去の中国ではない。10月3日に開かれた2017年英国保守党の年次党大会で、マイケル・ファロン国防相はメディア取材に対し、「英国の戦闘機『タイフーン』は昨年、南中国海の上空を越えて飛行した。今後もそうすることはあるだろう。だが演習はしない。中国への直接的な挑発となるからだ」と語った。「我々は、我々の通航権を行使する。米国人は意見の食い違いのある島嶼の周辺海域で演習を続けているが、我々にはそのような計画はない」
これについて元保守党議員のジェラルド・ハワース氏は、英国は中国による投資と貿易を奨励したいのだと解説する。この発言の意味するところは十分に明確ではなく、ある面では前後で矛盾さえしているが、筆者は、これが前向きな進展であり、古き帝国の実務的な「利益観」と柔軟な知恵を示しているのだと考えたい。
日本と英国はいずれも米国の同盟だが、日英同盟が昔、米国の極東における利益を深刻に脅かすようになると、米国は断固としてこれに反対した。国際情勢は当時とはまったく変わっているが、日英の軍事協力強化を米国が良しと見るかは、英国がもう一度考えるべき問題だろう。(文:呉敏文、国防科技大学情報通信学院勤務)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年10月28日