業績の悪化が本当の原因か
問題発覚後の初めての記者会見で、神戸製鋼の梅原尚人副社長は、改ざんが起きた理由について、「現場は納期、生産目標のプレッシャーがある中でやってきた」と説明した。
これについて、「神戸製鋼がメディアに対応するための言い訳に過ぎず、近年の同社の経営状況から見て、不正の主な原因は業績の悪化」という声もある。
まず、神戸製鋼の売上高は近年、下降の一途をたどっている。
次に、企業内部のガバナンスに深刻な問題が起きている。近年、多元化戦略を実施しているため、本業の鋼鉄のほか、同社は溶接やアルミ・銅、機械、工事技術、電力などの分野にも参入し、それらの業務に関連性はほとんどないため、各部門の情報のやり取りや連絡がスムーズにいかず、内部が閉鎖的な状態になっていた。
また、研究開発に投じられる経費が十分でなく、技術進歩が進まなかった。
最後に、同社は強大なライバル社との競争にも直面していた。例えば、古河スカイと住友軽金属工業との経営統合によってUACJが誕生し、神戸製鋼にとっては市場で大きなプレッシャーを受けることになった。
うまくいかないモデルチェンジ
上記で言及したように、日本の製造業の不正問題は神戸製鋼が初めてではなく、神戸製鋼の不正は坂を一気に下る日本の製造業の縮図のようである。そして、それは日本の企業が近年経営・管理のモデルチェンジを実施しているものの、うまくいっていないことと密接な関係がある。
まず一つ目の現状として、近年、多くの日本の企業が、株主の利益を強調する欧米の経営スタイルに続々と移行している。
以前、日本の企業の経営層は主に将来に目を向けた経営に焦点を合わせ、品質と管理を非常に重視していた。しかし、昔はコツコツと行っていた品質管理(QC)が今では影を潜め、企業の管理者は目先の財務状況にばかり注目し、利益を増やす方法ばかり模索している。