まず、1960、70年代以降、日本の繁栄の要因となった企業家の精神が日に日に消えている。
松下幸之助や盛田昭夫、本田宗一郎などのように、大企業を起こし、築き上げる人物が長年登場していない。日本の製造業全体は90年代のバブル崩壊以降、「攻撃」から「守り」の姿勢に転じた。
次に、以前世界の先頭に立っていた日本の製造業の生産方法が時代遅れになっている。
マサチューセッツ工科大学(MIT)が日本の自動車産業における生産方式(主にトヨタ生産方式)を研究し、その成果を再体系化・一般化させた生産管理手法であるリーン生産方式は、90年代にモジュール生産の猛烈な逆風にさらされるようになったほか、アップル社の世界産業チェーンなど、新たなビジネススタイルからの重圧も受けるようになり、日本の携帯電話業界はほぼ全滅し、半導体産業の競争力も大幅に衰退している。
日本の製造業の最後の有力な駒である自動車産業においても、トヨタや日産などが、従来の閉鎖的な垂直的統合型生産体制の調整を強いられている。現在、トヨタの車両作りの方針「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」の戦略はフォルクスワーゲンと比べると20年遅れている。
3つ目に、日本の基礎研究の全体的なレベルが落ちており、各種人材の引継ぎが進んでいない。
大学と企業は既に、すぐに利益を生むことは難しい基礎科学に多くの経費を投じることを望まなくなっており、それが日本の基礎研究が全体的にレベルを落とし、それに従事する若者が減ることにつながっている。2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏は、「このままでは将来、日本からノーベル賞学者が出なくなると思っている」と警鐘を鳴らした。この言葉は、日本の科学技術基礎研究の発展の現状を浮き彫りにしていると言えるだろう。
端的に言えば、人類社会は既に、モノのインターネット、人工知能、ビッグデータなどの技術革命の新時代に突入しており、さらなる生産方式の革命、新しいビジネススタイルを切実に必要としている。神戸製鋼を代表とする多くの企業がこれからも過去の栄光にしがみついたままだとしたら、時代の発展の流れについていくのは難しい。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年11月9日